52話〜遠き記憶
その頃、ブラットは幼き頃の夢を見ていた。
…… “……ん?ここはどこだ!俺の家か?何で母さんと親父が……それに、あれはもしかして俺なのか? ”
そう、そこには覚えている筈もない、幼き頃の光景。そして母親のカトレアと父親のガルドが心配そうにブラットを見ていた。
『ガルド……ブラットの熱が中々下がりません。いったい何故こんなに高い熱が?』
『確かに、これほど高い熱が頻繁に出るなんておかしい』
ガルドはブラットに調合した薬を飲ませた。
『とりあえず、少しの間は、これで大丈夫だとは思うが、この所頻繁に熱を出すのが気になるな』
『何か嫌な予感がしてなりませんが。ブラットの身に何か起こっているのでは?』
『分からねぇが……可能性は高い。ただ、それが何なのかだがな』
カトレアは心配そうにブラットを見つめていた。
そして、ガルドは腕を組み考えこんでいた。
“ これは俺の小さい時の夢なのか?でも何で今頃……それに覚えていない。これは本当にあった事なのか?分からない。でも、何で? ”
そう思っているとブラットの意識がどこかに飛ばされた。
“……なんか、何処かに飛ばされたみたいだけど?ここは確か村の外だよな?”
そう考えていると小さい頃のブラットがそこにいた。
そして小さい頃のブラットは誰かと話しているようだった。
その光景を見てブラットは、
“なんなんだ?全然覚えがないんだけど……だけど多分、あれって間違いなく、俺の子供の頃だよな?それにしても、誰なんだアイツは?全然思い出せないんだけど……でも、これって本当に夢なのか?”
そう思っているとまた何処かに飛ばされた。
そこは暗い洞窟の中でそこには大きな魔方陣が描かれていた。
そしてブラットは、その魔方陣をよく見てみると、その中心には誰かが横たわり眠っていた。
ブラットは誰なのかとよく見ようとした……その時、急に意識がどこかに飛ばされた。
……するとブラットは目を覚まし、辺りを見渡した。
そして、ブラットは今の状況が理解できずにいた。
(ここは、いったい何処なんだ?何で、こんな高級なベッドで寝ているんだ?確か俺はあの2人に捕まって……なのに何で?)
そう思いながら腕を組み考えていると、誰かが部屋に入ってきた。