追放されました!
今、私は螺旋階段を下り城の地下へ向かっている。
一歩一歩一段ずつ降りていくと冷たい空気が包んでいく。
足は靴など履いておらず裸足で服は犯罪者が着る様なボロボロの服で腰には逃げ出さないように紐がつけられている。
私の前後には兵士がついており監視されている。
つい1ヶ月前には想像していなかった現状だ。
私、アレクシア・ミラーレスはこの国の公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。
幼い頃から王妃になる為の厳しい教育を受けて周りの期待を受け将来の王妃として頑張って来た。
が、その努力も貴族学院に編入してきた平民の少女に全て奪われてしまった。
その少女は聖女候補と言う事で特待生として編入してきたのだが、ほぼ同時期にその聖女候補と王太子様がにこやかに会話をしている場面を目撃する様になった。
まぁ、相手は国の未来を左右する聖女候補だからちやほやするのは仕方がない、と思っていた。
その頃の私は外交やら内政やらで学院に来る事自体が少なくなってきていた。
だから、私が聖女候補を嫉妬から嫌がらせやイジメをする訳が無いのだ。
卒業記念パーティーの場で王太子様に婚約破棄を一方的に宣言され断罪された時は内心『なんじゃそりゃ』と思っていた。
私の行動なんて調べればわかるはずなのに聖女候補の言葉を鵜呑みにして反論すら許されず兵士にズルズルと引きずられ牢屋にガチャン。
それでもきっと父親がなんとかしてくれるだろう、と思っていたけど勘当、絶縁を言い渡されました。
そして、私に言い渡されたのは『追放刑』、死刑制度が無いロンド国では追放刑は一番重い罪です。
国を追放、ならまだ良い方でこの追放刑はこの世界から追放され二度と戻って来る事は出来ないのです。
私はまさにその執行場所となる地下の魔方陣へと向かっているのです。
そして、遂に到着しました。
木の扉が開き中には数人の魔導士がスタンバイされていました。
「今回の罪人だ、よろしく頼む」
私は兵士に押し出されて魔方陣の真ん中へと倒れました。
私が倒れたと同時に魔方陣は光りました。
「最後に言う事があるか?」
兵士が私に言って来ます。
「何も言う事はありません。どうせ言っても聞いてくれないでしょうから」
それがこの世界での私の最後の言葉となりました。
きっと泣きわめく姿を見たかったんでしょうけど残念ながらとっくにこの国への愛情は消え失せました。
追放先はきっと荒れ果てているか共謀な魔物がいる世界なんでしょうね。
私はどっちみち生きる事は難しいでしょう。
そうなったらそうなったで化けて出てやるつもりです。
怨霊となって王太子や聖女候補、親を呪ってやります。
そんな事を思いながら私は目を閉じました。