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素直

 累は黒い所から、何処かへ一気に吸い込まれる感覚を覚えると、悪夢から覚めた様にベッドから起き上がった。そしてニーナと頭を強くぶつけた。

 「いった」
「悪い」

いきなり何が?

 勢いよくニーナと頭がぶつかったが累は何もなかったかのように返答し辺りを見渡した。

 「…… お前らも死んだのか? まさか、自爆でも…… 悪い、あの時殺せていれば」
「全員生きてるよ」
「いや、俺が生きてる事自体あり得ない、流石に胴体真っ二つを治す奴なんて流石にいる訳無い」
「お前が勝手に引っ付いたんだ」
「有り得ない事言うな、そもそもあの更地は知ってたから使えたんだ」

 そもそも再生?の能力が有ること自体あの黒い所に行って初めて知ったんだ。能力発動の為の言葉を知らなきゃ使えない。有ること自体知らなかった俺が使える訳がない。でも影があるから、一概には、じゃあ誰が?

 「あの作戦見事だった。あのまま居たら全員斬られてたが、まさか身体がくっつくなんてな」
「作戦じゃ無いしくっつけたの俺じゃないからな」
「じゃあ誰が?」
「お前らじゃないなら不明」

 候補はクソ主催者がいるが、もしそうなら意味が分からない。 意味分からないから放置して。

 「俺が何故か生き返った事は分かった、後いきなりで悪いが裁縫道具借りたいんだが有るか?」
「船の中には無いね、後で借りれる様にリシュルさんに言ってみるね」
「ありがとうな、後運んでくれた奴にもありがとうって言っておいてくれるとありがたい」
「自分で言ったら?」
「じゃあ後で誰がやったか紹介してくれ」
「お前名前言わないのに礼は言うんだな」
「お礼言うのは当然だろ」
「名前も呼べよ」
「呼ぶ理由が無いな」

 累は思いついた様に唐突に、ゆっくり、怒りを少し含めながら質問した。

「お前ら、見てないよな」
「何を?」
「俺の肌見てないよな?」
「傷を見られたく無いのか?」
「そんな所だ、絶対に見るなよ、見たらどうするか分からないからな」

 話が終わったと同時に雄介と葵が累が寝ていた部屋に狐につままれた様な顔をして入ってきた。

 「目が覚めたか、ちょっと言いたい事が有るんだが、今良いか?」
「何かあったのか?」
「もう一つの門が出た。中を少し探索してきたが、昼間なのに静かすぎだった。中は建物以外は人っ子一人居なかった」
「そんな事言って大丈夫なのか? 敵かもしれねぇのに」
「又参加するならこの程度の情報は必要だろ」
「参加させられるの間違いだ、死にたく無いからな」
「そんな事言わなくても真っ先に参加しそうだけどね」
「する訳ないだろどこ見て言ってんだ、後笑顔止めろ」
「素直じゃ無いなって」
「俺は素直でわがままだ、只お前の基準が違うだけだろ」
「そうかもね」
「と言うか本当に何も無かったのか?」
「木で出来た建物が多かったな、後石の階段があった」

 西洋の次は日本か? 基準が全く分からないな。この場所の次が海とかなら良いんだが、そうじゃないと自由に動けない。

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