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5話

先生「皆さん。オーブと言う物をご存知ですか?」

先生が質問すると、一人の少女が手を真っ直ぐに伸ばした。

先生「はい、フレイヤさん」

フレイヤ「オーブはこの世界における魂のことです。オーブは大きく分けて二種類存在し、純粋な光の魂のことを純白魂(ピュアホワイト)。純粋な闇の魂をと純黒魂(ピュアブラック)呼びます」

先生「その通りですフレイヤさん!オーブとは魂のことで、(オーブ)は大きく分けるとピュア・ホワイトとピュア・ブラックに分けられます。人間の魂は普通の人ならば闇と光、両方が程よく均衡(バランス)を保つことで構成されています。そして、人間の闇のエネルギーがオーブから放出され、その闇のエネルギーが具現化した魔物、それをオーブイーターと言います。オーブイーターはオーブの光を喰らうと言われています。皆さんももしオーブイーターに遭遇することがあれば、危険なのでまずは逃げてくださいね。
さて、そんなオーブイーターには様々な種類が存在します。その中でも特に代表的なものがコレ、イビルアイです」

先生が黒板に張り出した写真には、俺がこの前戦ったオーブイーターが映されていた。

先生「イビルアイは最も個体数が多いと呼ばれているオーブイーターです。学校周辺でも出現情報があるので気を付けて下さい」

フレイヤ「先生!」

再びさっきの少女が手を上げた。

先生「はい、フレイヤさん」

フレイヤ「オーブイーターも消滅後はラストフロンティアへ向かうんですか?」

先生「いい質問ですね!それが、オーブイーターはラストフロンティアには向かいません。まず、命ある物は皆魂を持っています。その魂は死後、肉体を捨ててある場所へ向かうと呼ばれています。それが、魂が最後に向かうと呼ばれている新天地、『ラストフロンティア』です。しかし、オーブイーターは死んでもラストフロンティアに向かうことはありません。これは、オーブイーターが生命と呼ぶには未熟な存在で、安定した魂を持っていないからです」

これがロストさんも言っていたラストフロンティアってやつか。俺が元いた世界でも死んだらラストフロンティアに行くのか?と質問したいところだが、やめておこう。

先生「ラストフロンティアから再び世界に戻り、新たな肉体を持って生命活動を行うことを『転生』といいます。転生は次の世代になるまで、その魂はラストフロンティアで眠るので、直ぐには世界に戻ることは出来ません。戻ってくる時間も魂によって個体差があると呼ばれています。前世の生命が現世の生命と結びついている人物をその人の『転生体』呼びます。転生する際に強い思いや覚悟を持ってラストフロンティアへ向かうと、その魂は来世でも前世の記憶を失わないと言われています。また、ある人物の魂とある人物の魂を分裂し、新たに生み出された魂を『出生体』呼びます」

フレイヤ「先生!」

また、あの少女だ。

先生「はい、フレイヤさん」

フレイヤ「その、出生体は複数人のオーブを分裂させることによって1つの魂を作ると言ってましたが、それは性行為によって新たに生み出され生命とはまた異なる物なんですか?」

先生「とてもいい質問ですね!それが少し異なります。確かに性行為によって新たに産まれる生命も、出生によって生み出される魂も、同じく二人で1つの魂を生み出すと言う意味では同じです。しかし、性行為によって生み出される場合は肉体情報を親から形質します。しかし、出生体は出生主の肉体情報を形質する訳ではありません。それに、出生は性行為と違って男女で行うという決まりもなければ、二人で行うという決まりもありません。複数人の魂から1つの魂を作ることも出来るのです」

これもロストさんが話していた転生体のことだ。俺の前世はカリブンクルス。だから俺はカリブンクルスの転生体。でも、俺はカリブンクルス時代の記憶を持っていない。そんなに強い思いを持っていなかったのかな。

て言うか、俺は元々この世界の住人なのに、どうしてあっちの世界にいたんだ?転生したら他の世界に行くこともあるのだろうか?帰ったらこのことをロストさんに聞いてみよう。



【エネミー・データ1】
『イビルアイ』
危険度:★

バスケットボール程のサイズで、水色の目玉から、少し青みが勝った黒色の2本の角と腕が直接生えた、不気味な容姿のモンスター。オーブイーターの中でも最も出現率が高く、最も基本的にして、最も弱い。
地面から数センチほど空中に浮遊しており、光の魂を持つ人を爪で引っ掻いて攻撃してくる。真ん中の瞳孔が弱点。

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