16話〜不安
ここはティールの街にある転職の神殿。ユリィナは先に来ていたが、不安になりガルドを入り口付近で待っていた。
するとガルドがビスカと何かを話しながら、こっちに向かって来ているのが見え、それを見たユリィナは不安になっていた。
(……ガルド、私といる時よりも何か楽しそうだなぁ。はぁ、ガルドは私の事どう思ってるのかな?」
ユリィナはそう考えながら待っていると、ガルドとビスカがきた。
「ユリィナ。待っててくれたのか?」
「あ、うん。1人で行くのがちょっと不安だったからね。それより、えっと、確かビスカさんでしたよね?」
「そうだよ、私はビスカ=マードレアだよ。えっと君は?」
「私は、ユリィナ=モルグと申します。それで、ガルドと仲よさそうに楽しく話をしていたようでしたが、元々お知り合いなのですか?」
「ん〜別に知り合いじゃないよ」
「えっ!?知り合いじゃないって、どういう事なの?ガルドの名前知っていたみたいだけど」
「確かにな。ビスカ、何で俺の名前を知っているんだ?」
「あ〜、それは……あはは。どうしようかなぁ。実はね、名前だけ頼りに会いに来ただけって言ったら信じないよね?」
「そんなの普通信じるわけないでしょ!」
「そういや、確か、さっきのイリスも俺の名前だけ知ってたみてぇだったが、どういう事なんだ?」
そう言われビスカはどうしようか戸惑った。
「それはね。えっと……あ〜どうしよう。はぁ、仕方ない!さっきも母様と話してたの聞いてたと思うけど。ん〜そういえば、ガルド。ユリィナはあの事知ってるのかな?」
「えっ?あの事って何の事?」
「ビスカ。まさかとは思うが、お前が言いてぇのは契約の話か?もしその話ならユリィナは知らねぇ。だが、話した方がいいのか?」
「ん〜、それは自由だけど……ユリィナ、君は……ん〜、多分大丈夫かな」
「ねぇ、さっきから、いったい何なの?」
そう言われガルドは少し考え深呼吸したあと話し出した。
「ユリィナ、今から話す事は恐らく信じてもらえねぇかもしれねぇが……」
そう言うとガルドはユリィナに洞窟であった事を話した。
「ふ〜ん、なるほど。それで、あんなに傷が酷かったのに生きて帰れたってわけか」
「ユリィナ、驚かねぇのか?俺がこんな突拍子もねぇ事言ってるのに」
「何でかなぁ。確かに、信じられないような話だけど、ガルドは強いし、嘘つくような男には見えないしね」
「俺はそんな風に見えるのか?」
「違うのかな?それとも今までのもみんな嘘だったのかな?ん〜まぁ、言いたくない事と我慢して言えない事は嘘とは違うと思うからね」
「……ユリィナ。お前……いや、何でもねぇ。それでビスカ、何で俺の名前を知ってた?」
そう言われたがビスカは2人のやり取りを見ていて、
「ねぇ、さっきの話を聞く限りだと、まだ、知り合ったばかりなんだよね。ん〜まぁいいか、仕方ない話すか〜」
そう言うと、ビスカは自分の父親の大賢者ドルマノフに言われここに来た事と、大賢者は神と話す事が出来、賢者は神の声だけが聞ける事と、イリスはそれでガルドの事を知ったという事などを話した。
ガルドとユリィナは、その話を少しの間、聞きながら頭の整理をしていた。