15話〜賢者イリスの目的
ここはティールの街。イリスはここに来た目的を話そうとしたが、流石に道の真ん中で話す訳にもいかないので、ひとけの無い空き地を見つけそこで話し始めた。
「改めまして、私はイリス=レイアスと申します。そして。魔族領土エクスダールの賢者です」
「おい!ちょ、ちょっと待て!?魔族の賢者が、何でこんな所にいやがるんだ」
「ガルド、私がここに来た目的は、貴方の実力と人柄が知りたく。そして、願わくば我等に力を貸していただけたらと思い来たのですが」
「力をって……。何で俺が魔族に手を貸さなきゃならねぇんだ?」
「なるほどねぇ。母様は、魔族側に引き入れたいわけかぁ。でもね、お父様は私にガルドの監視をするように言った。魔族や人間達に利用されないように守れってね」
「なるほど。あの人は、まだそんな事を言っているのですね。でも恐らく、いずれどちらかにつかなければならなくなると思いますがね」
「……話している所悪いのですが。先程から聞いてて、貴女達が言っている事が理解出来ないのですけど。何故ガルドが?」
「貴女はガルドが何者なのか、何の為に旅に出たのか、何も知らないのですね」
「ええ、私は別にガルドが何者だってどうでもよかったし、旅の目的だって知る必要も無いと思ってたから」
そう言うとイリスはユリィナを見つめ何かを探っていた。
「貴女が言っている事は事実のようですね。でも、なるほど。クスクス、そうなのですね。まぁ、これは私の口からではなく、本人が直接言わなければならない事柄ですし。さてさて、そろそろ行かないと追手も来てしまいます。あ、そうそう、ユリィナさんでしたね。貴女のその想い実を結ぶといいですね」
そう言うとイリスは姿を消し何処かに行った。
「ちょ、ちょっと!?何なのよ。もしかして私の心の中覗いたわけ?てか、勝手に覗くなぁ〜!!……って、もういなくなってるし」
「おい、ユリィナ。お前まさか……」
「ガルド、あのね。これにはね……」
「そうか、やっと吹っ切れたのか。それで、いつの間にそんないい男見つけたんだ?」
そう言われユリィナはガルドの頬を思いっきり叩いた。
「い、いてぇぇ〜!?な、何でいきなり叩くんだ!俺が何したってっんだ」
そう言うとユリィナはガルドを睨み、
「ガルドのバカァ〜!もう知らないんだからね」
そう言うとユリィナは1人で転職の神殿に向かった。
「ユリィナは何であんなに怒ってるんだ?」
「ねぇ、ガルド君って女心が分かってないみたいだね。まぁ、私には関係ないけどねぇ〜」
「お、女心って……そう言われても、俺は男だしなぁ」
ガルドがそう言うとビスカは呆れた顔になり溜息をついた後ユリィナを追った。
ガルドは訳が分からないまま、ユリィナとビスカの後を追い転職の神殿に向かった。