14話〜ビスカとイリス
ここはティールの街の中。ガルドとユリィナは転職の神殿に向かって歩いていた。
すると、女性が数名の者達に絡まれていた。ガルドはそれをみて助けようとその女性の方に駆け寄った。
ガルドはその者たちから女性を引き離すと、すかさず目の前に剣を突き出した。
「おい!お前ら女1人に、この人数とは卑怯なんじゃねぇのか」
そう言うとその者たちは、その下の顔を見られたくないらしくフードを深々と被ってしまった。
「クッ、邪魔が入った。仕方がない退却するぞ!」
その者たちの1人が言うと姿を消し逃げて行った。
そして絡まれていた女性はガルドの前に来ると、
「助けて頂きありがとうございます。私はイリスと申します。ですが。恐らく私1人でも問題なかったとは思いますが」
「俺は、ガルドだ。問題ねぇって。そうか強いって事か……。余計な事しちまったみてぇだな」
そう言いガルドはそこを立ち去ろうとした。するとイリスはガルドをみて、
「なるほど貴方がガルドなのですね。探す手間が省けました」
そう言うとイリスは、いきなりガルド目掛け雷の魔法を放った。
ガルドはそれに気づき慌てて剣でガードした。
「おい!何のつもりだ!?」
「フムフム、これをいとも簡単に防ぐとは、流石は神に認められし者。では、この攻撃ならどうでしょうか」
《サンダーアロー!!》
と呪文を唱えると魔法が放たれ、無数の雷の矢がガルドの目の前まできていた。が、どこからともなく、
《ストーン バースト!!》
と呪文が唱えられ、イリス目掛け石飛礫が飛んで来て目の前で爆発した。
慌てて魔法でガードするが間に合わず、石飛礫の破片が数ヶ所イリスの身体に当たった。
「……っう。い、痛!?誰なのですか!邪魔をするのは……と、いうか。この魔法は、ビ、ビスカ!何故、貴女がここにいるのですか?」
そう言われビスカは姿を現した。
「何故って、お父様に言われてイヤイヤ来たに決まってるしぃ」
「あの人が、何故貴女を何の為に?」
「ん〜何の為にって。はぁ、まあ、いいか。もうバレちゃったし。あっ、そうそう、君がガルドだよね?」
そう聞かれたが、ガルドは何が起きたのか分からず呆然としていた。
ユリィナも一瞬動けなかったがガルドの事が心配になり駆け寄ってきた。
そして側まで来てガルドの頬を叩いた。
「ガ、ガルド!しっかりして。どうしちゃったの?まるで気が抜けたようになって。らしくないよ」
そう言われガルドは、ユリィナに叩かれた頬を摩りながら、
「はっ!ユ、ユリィナ。あ、ごめん。てか、俺はこんな凄い魔法は見た事がねぇ。つい、身動きが取れなくなっちまった」
「ねぇー、ねぇー。私の質問無視したよね?」
「質問?って、何の事だ?」
「ん〜、聞いてなかったのかぁ。仕方ない!もう一度聞くけど、君がガルドでいいんだよね?」
「ああ、そうだが……」
「そっか、ん〜そうだなぁ。しばらく、一緒に行動したのがいいかな。この人みたいなのが、これからどんどん狙って来るかもだしね」
「ビスカ!はぁ、確かに今は他人同然ですが、仮にも親に対して、その口の利き方は……。やはり、私が引き取るべきでした」
「もしかして、お前ら2人親子なのか?てか、話が見えねぇんだが。いったい、何なんだ?」
そう言うとイリスがガルドを見て話し始めた。