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14話〜コンテスト開催*そしてノエルが{改}

 アリスティア達と別れた後、ノエルとシャナは宿屋に戻り、コンテストに備え準備をしていた。

「シャナにゃん。準備できたのかにゃ?」

「そうですね。だいたいは何とか準備できましたけど。ノエル様はどうなのですか?」

 ノエルは苦笑いしながら、

「ん〜、私は出来たと言うか出来てにゃいと言うか〜、にゃんかコンテストで優勝できにゃいって分かってて出るって、複雑にゃ感じがするにゃ」

 シャナは外を見ながら、

「ノエル様はまだいいのです。私は狙われているのですから……」

「あっ、ごめんね。シャナにゃんの方が大変にゃのに……」

 ノエルはシャナに申し訳ないような複雑な気持ちになった。

「でも、これが成功すれば、相手の尻尾をつかめるのですから。ノエル様にも活躍して頂かないといけませんので、よろしくお願いしますね!」

 シャナが少し意地悪気に言うと、

「あははは……」

 ノエルは苦笑した。



 夜になり花火が上がると、いよいよコンテストが始まった。そしてノエルとシャナ以外の出場者が舞台裏に集まってきた。

 ノエルとシャナは、その出場者の面々を見るなり、

「このメンバーにゃら、シャナにゃんの優勝は間違いにゃい気がするけど……。にゃんかあからさまにうさんくさい臭いがしにゃいでもにゃい」

「確かに、明らかにレベル的には、私よりも遥かに劣る感はありますね」

(ん〜、コンテストの間は、にゃにもにゃいとは思うけど、用心に越した事はにゃいし。かといって悟られてもまずいしにゃ)

 そう考えていると、後ろの方で気配を感じたと思った瞬間、背後から小さな矢が飛んできた。

 ノエルは警戒スキルを発動させていた為、その気配に即座に反応し俊敏に動き、小さめのナイフで飛んできた矢を素早く叩き落とした。

 そして、矢を拾いノエルは、

(えっとにゃ……。にゃんで私が襲われたのかにゃ?ん〜……)

 ノエルが考えていると、その光景を見ていたシャナが慌てて駆け寄ってきた。

「ノ、ノエル様。お怪我はありませんか?」

「怪我はにゃいけど。不思議にゃんだよね。にゃんでシャナにゃんではにゃく、私が狙われたのかにゃ?」

「確かにおかしいですね?昨夜ノエル様は聞いたのですよね?私が狙われていると?」

「間違いにゃいはずにゃんだけど」

 ノエルはそう言うと考えこんだ。

「でも、ノエル様が狙われたのは事実ですので気をつけて下さいね?」

 ノエルは頷き、矢が放たれたと思われる方を見たが、もうそこには誰もいなかった。

 そしてコンテストが始まり、支配人のマルクスが、

「これより、毎年恒例のコンテストを開催したいと思います!そして今年も選りすぐりの強者が集まりましたので、皆さま存分に楽しんでいって下さいませ!」

 マルクスは舞台から降りて、

「では、出場者を紹介していきたいと思います!」

 1人1人と紹介し始めた。

 そしてノエルとシャナを紹介すると開始された。

 最初はファッションセンスを競いあう、1番から順に舞台に上がった。

 そしてノエルとシャナも続けてあがった。

 その時、ノエルを見て観客席の方から歓喜の声があがった。

 それは、ノエルは見た目だけなら子供っぽいように見えるが、ファッションセンスだけは誰にも負けない自信を持っていた。

 ノエルは、自分のスタイルにあった服選びのセンスもあり、観客はそれを見て他の誰よりも良く見えたのだ。

 もちろん、ファッションの評価は1位ノエル、2位シャナ、3位…4位…5位…6位…7位…8位…となった。

 次はダンスと歌を競いあう。

 しかし、残念ながらノエルには、そのセンスは0だった。

 そしてシャナはダンスのセンスはなかったが、歌のセンスと声は1番だった。

 ダンスの順位は1位…2位…3位シャナ……と8位ノエルで、歌の順位は1位シャナ……5位ノエル……という感じになった。

 最後にいよいよ誰が1番、強いのかを競うトーナメントが始まった。

 トーナメント順は1番と5番、2番と6番、3番と7番ノエル、4番と8番シャナ、の組み合わせで行われる。

 とりあえずは1番と5番が対戦し、白熱の結果5番が勝った。

 次の試合は2番と6番が対戦して、あっさりと2番が勝った。

 そしていよいよ7番のノエルと、3番の対戦となった。

(ここまで、にゃんとかやってきたけど。ここって勝っていい場面なのかにゃ?ん〜……)

 そう考えていると、

「ねぇ〜、あなた?ここはお子様が立っていい舞台ではないのですわよ!ん〜、そうね〜、もう暗いですし、おねんねの時間ではないのかしら?」

「お、お子様って、私はお子様じゃにゃ〜〜〜い!そういうあなたこそ、おばさんじゃにゃいのかにゃ〜」

「だ、誰がおばさんですって!?私はマーリン・ローズ。これでもこの国では有数の貴族ローズ家の長女ですのに……おばさん扱いする者がいるなんて」

 そう言うとマーリンはノエルを睨みつけ、

「フッフッフッ、面白いですわ。この試合であなたのようなお子様には負けるとは思いませんが」

 ノエルはマーリンの話を溜息まじりで聞いていた。

「その態度も気に入りませんわ。これは、どちらが上か分からせてあげないと、いけないようですわね!」

 ノエルは困った顔になり、

「はぁ〜、これだからにゃ〜。貴族だかにゃんだか知らにゃいけど。気位ばかり高くって相手の強さや良さを見た目でしか判断できにゃい。あきれるにゃ〜」

「そこまで言うのであれば、そろそろ開始ですし、そこで決着をつけませんこと?」

「そうだにゃ、決着をつけようにゃ!!」

 少し経ってから開始の合図がありマーリンが、

「あっ!言い忘れてましたけど。さっきからあなた……にゃ〜にゃ〜、うるさいのですが?」

 ノエルはマーリンを睨みつけた。

「……クッ!?」

(あのクソばばあ〜。もう頭きたにゃ〜。手加減しようと思ったけど、もうゆるさにゃいんだからね!!)

 ノエルは戦闘体勢に入った。

 《疾風の速脚!!》

 小声で言うとすかさずノエルは後ろに回り攻撃をしようとするが、マーリンは跳び宙を舞うかのように身体を捻り身軽にその攻撃を回避した。

 マーリンは扇子を両手に持ちノエルに襲いかかってきた。

 それをノエルが瞬時に避けた。

「あら、これをかわすなんて、思ったよりはやりますわね!」

「それはこっちのセリフだにゃ!あのスピードに反応できるにゃんて、少しあにゃどっていたにゃ!」

 《隼の翼!!》

 ノエルの素早さが更に上がり、クナイを両手に持つと刃に真紅の炎を纏わせ、

 《爆炎の鎌鼬!!》

 マーリンは真紅の炎に囲まれ逃げ場を無くし、更に真空の刃に襲われた。

 逃げ場を失ったマーリンは、その速さについていけず、まともに攻撃を受けた。

「……あっ!!」

 マーリンは声をあげると膝をつき、

「くっ、こんなはずでは、まだですわ。まだ奥の手があるのですから!」

 マーリンは扇子を開くと、先端が光り出し刃となり、

 《秘技 螺旋封殺!!》

 扇を素早く放つと鋭く無規則に螺旋を描き飛びノエル目掛け飛んできた。その素早く向かいくる扇の軌道をノエルは瞬時に読みとり、

 《剛鉄のマント!!》

 自分をマントで覆うと、扇子はマントで弾かれ地面に落ちた。

 すかさず、ノエルは手を交差して、

 《奥義 爆魔石乱殺弾!!》

 無数の魔石を放ちマーリンの周りで爆発させた。

 マーリンはそれを避けきれず、

「あっ、ありえませんわ。こっ、こっ、この私が破れるなんて……」

 マーリンは膝をつくと倒れ込んだ。

「くっ、こんな事が……」

「それにしても思ってたより強かったにゃ!」

「そっ、そんな。くっ、まだ余裕があるというの」

 そう言った後マーリンは気を失った。

「勝者ノエル〜!!」

 と審判が言った。

 そしてマーリンは奥に運ばれ、ノエルはそれを見て、

(でもよく最後まで諦めずに、流石って感じにゃ!)

 そう思いながら舞台を降りてから、次の試合を観戦する前にシャナと話をした。



 しばらくして、ノエルはシャナの試合を見るために観客席の方に移動しようとしていた。

 だが背後から何者かがノエルの事を監視しているような気配を感じた。

(ん?さっきのやつかにゃ?それにしてもにゃんで、私を狙っているのかにゃ?)

 ノエルはそう思いながら、その事に気づいていないふりをして様子をみる事にした。

 すると、さっきの気配が一瞬うごいたかと思うと、ノエル目掛け大きな捕獲網が飛んできた。

(うっ!にゃんだにゃ〜!?これは、想定外すぎて対処しきれにゃい)

 ノエルは瞬時に動きその網からは逃れたが、後から放たれた矢の攻撃を避ける事が出来ず、矢はノエルの左肩に刺さってしまった。

「うっ、うかつだったにゃ!」

 ノエルは右手で左肩の矢を抜こうとした。その時、数本の矢と網がほぼ同時に、ノエル目掛け飛んできた。

「うわ〜、周りに誰もいにゃいこの状況で、完全にピンチにゃんですけど〜」

 ノエルは飛んで来た矢を避けきれないと思い、この場から退却しようと思った。

 そしてポケットから道具を取り出そうとしたが、矢に薬が仕込まれていた為、動けなくなり、

(これはまずいかも。身体が動かにゃくにゃってきた。って言うか、にぇむいにゃ……)

 ノエルはほんの一握りの最後の力を振り絞り、

 《剛鉄のマント!!》

 かすかな声で言い、矢の攻撃だけは何とか防いだが、捕獲用の網からは逃れる事は出来ず、そのまま眠りにつき捕まってしまった。

 そして怪しい者たちはノエルに近づいてきて、その中の1人が、

「思ったより、手こずったな。ここ数日間、旅しているのをみていた」

 そう言いノエルを見下ろし、

「何が目的で旅をしていたのかは知らねぇが、ここまで強くて可愛いのであれば、あの方ならかなりの大金を出してくれるはず」

「それにしても兄貴。この国の貴族は変わり者ぞろいでやすね。とくにあの方は……」

「確かにな。だが、俺たちはどんな依頼人だろうが仕事をこなすだけだ!」

 その者たちは、ノエルを縛り口を布で覆い抱きかかえ仲間と共にその場を去った。



 そして何もなかったかのように、シャナと4番の人との試合は始まっていた。

 シャナは難なく相手を倒し、次の対戦の準備をする為その場を後にした。

 そしてシャナはノエルを探した。

(おかしいですね?観客席にいると思ったのですが?いませんでしたし。舞台裏にもいないとなると?)

 シャナは考えていると、コンテストが始まる前にノエルが狙われた事を思い出した。

(まさか!?ノエル様に限って……考えたくはないのですが。もしそうだとしたら、アリスティアにこの事を伝えなければなりませんが。伝えるにしても……)

 シャナはどうしたらいいかと思っていると、変装したアリスティアがシャナの目の前に現れ、

「シャナ。あの事で少し打ち合わせをと思い来たのだが。ノエル様の姿が見えない。どこにいるか知らないか?」

「あっ!アリスティア良かった。いえ、状況は良くはないかもしれませんが……」

 アリスティアは不思議そうな顔で、

「どうしたんだ!何かあったのか?」

 シャナは少し申し訳なさそうに、

「さきほど、私の試合が終わり観客席の方をみたのですが。ノエル様の姿がなく、舞台裏の方にいるのかと思って探しました」

 シャナは俯き肩を落とし、

「ですが、どこにもノエル様の姿はありませんでした」

「確かに、ノエル様がこの場にいないというのはおかしいな。それで様子はどうだったんだ?」

 シャナはノエルが襲われた事を話した。

「そうなると、ノエル様が襲われ拉致された可能性はあるが。腑に落ちないのは、それが誰の仕業なのかなんだが?」

「確かにそうなのですが。村長や支配人の仕業とも思えないし……」

(ん〜、ノエル様は、恐らくそいつに拉致された可能性が高い。
 そして、そいつは恐らくシャナが言っていたように村長や支配人の仕業ではない。だがそれが誰なのかだが……)

「アリスティア。こんな大変な時なのですが、この街の事はどうしましょうか?」

「んー、この街の事も心配なのだが……」

 少し間をおき、

「事が事なだけに、ノエル様の事とこの街の事をクレイマルスに聞いてくる。その間、シャナはこのまま計画どおりに進めて欲しい」

 アリスティアはそう言うとその場を離れ、シャナはそれを確認すると、控え室で少し休む事にした。



 その頃、ノエルは拉致され荷馬車の中にいた。

 荷馬車の中には数名の男女が乗っていて、そしてノエルは徐々に目が覚めてきていた。

(ここは……はっ!この状況は、最悪にゃ〜。でも、にゃんで、私が狙われたのかにゃ?
 それに荷馬車の中らしいんだけど、どこに連れて行くつもりにゃ?それよりもシャナにゃんはどうにゃたのかにゃ?
 ん〜、まだ暗いからそんにゃには時間は経ってはいにゃいみたいにゃんだけど?喋れにゃいし動けにゃいし、どうしよう困ったにゃ……)

 そう思っていると誰かの話し声が聞こえてきた。

「兄貴。このままこの女を、あのいけ好かないネルソン様の所に連れて行くでやんすか?」

「当然だ。この女を拉致したままだと、仲間が助けに来るかもしれねぇ」

 一呼吸おき、

「それにこの女が何するか分からん!さっきも妙な技や道具とか使ってたからな」

 そう言うとさっきよりも速く荷馬車を走らせた。

(この2人の話しだと。私はそのネルソンとかいう奴の所に連れて行かれるみたいだけど。にゃんで、私が?にゃんの為に?)

 ノエルはこの状況で逃げるにも見張りがいるし目立つから無理、やはり打つ手なしとか、色々と思考を巡らせていた。

 すると荷馬車の中の1人の男がノエルをみて、

「この女?こんな格好してるが、どう見ても獣人ではないよな?そうなるとヒューマンなのか?」

 そう言いノエルを覗き込み、

「それにしては、少し小ぶりな気もするが?ドワーフではないような気もするしな?」

 そして隣に座っている女が、

「確かに変ね?子供っぽいけど、それほど子供でもなさそうだし?だとしても、ネルソン様は強くて可愛い女が好み」

 ノエルを見ていたが視線を外し、

「それにまぁとにかくカルロスの見立ては、今までも間違った事はないし、とにかく報酬さえもらえば後はこっちには関係ない事だしね」

 と言うと女は外を見た。

(これって、私すごくピンチにゃのでは……こんな時に自分の持ってるスキルや道具が足りにゃい。もっとギルメンの言うこと聞いて覚えておけば良かったにゃ〜……)

 ノエルは後悔と悔しさで泣きそうになっていた。

 そして、荷馬車はどんどんと町から離れ、城付近の貴族の館があるあたりまで来ていた。

しおり