15話〜アリスティアとクレイマルス{改}
その頃アリスティアは、クレイマルスが隠れている場所に来ていた。
そしてノエルが、何者かに拉致されたかも知れないと報告した。
「何という事だ!!ノエルさんが……もし、それが本当なら早く助けなければ!ああ、大丈夫だろうか?今ごろ心細くて泣いているのでは……」
「クレイマルス!あのなぁ。はぁ、まぁいい。その事もそうなのだが」
一呼吸おき、
「あの街でこれから起きるかもしれない事と、シャナの身も危うい。それで、どうしたらいいか、お前に相談しようと思い来たのだが」
アリスティアはそう言い考え込んだ。
「アリスティア。確かに、あの街やシャナさんの事も気になる。これはどうしたものか……」
クレイマルスは辺りの様子をみてから、
「アリスティア。ノエルさんの手がかりが分からないんだったな。誰かに拉致された……これは、考えたくはないが」
そう言いウロウロし始めた。
「ここ最近この国内で行方不明者が続出している。それも可愛い女性がな。ただ気になるのは、可愛いだけではないという事なんだが」
左手を額に添えながら、
「確かノエルさんは異世界から来て強いと言っていたんだよな」
「確かにそのはずなんだが。それでも敵わなかったとなると……」
アリスティアは首を傾げた。
「いや、疑っている訳ではない。異世界の者は確かに不思議な力があると言い伝えもあるぐらいだから、ノエルさんにも何らかの力はあるとは思う」
近くの木に寄りかかり、
「いや、俺が言いたいのはそういう事ではなく、まぁこれはあくまで推測でしかない。ノエルさんは可愛くて強い」
アリスティアを見ながら、
「という事は、一連の行方不明の者たちも、この条件とほぼ一致する。という事は多分、同じ犯人なんじゃないかと思うんだが」
クレイマルスは、また辺りをウロウロし始めた。
「そんな事件が、この国内で起きていたというのか。だが何かおかしい。城内でこの事を知っている者がいないんだ?」
アリスティアはクレイマルスに視線を向けると、
「考えたくはないが。この事を上に報告すらしていなかったか」
地面の一点を見つめ、
「そうでなければ、城内に国で起きてる事を知られるのがまずいと思う連中がいるというのか……」
アリスティアはふとある人物の顔が浮かんだ。
(まさか、あの大臣が……確かにあれは何を考えているか分からんが)
「アリスティア。何か思いあたる奴でもいるのか?」
「いるとすればだが、ただ、間違いだったではすまないような相手だけにな」
アリスティアは少し悔しそうな顔になった。
「そうなると、この街の方を先に片づけ、その後ノエルさんの救出に行くとして。今すぐ仲間にノエルさんの足取りを探させるが?それで問題ないか?」
「そうだな。現時点では、それがベストなのだろう。では、その方向で進めようか!」
クレイマルスは頷き、
「早くノエルさんを救出してあげたいが。ここは我慢せねば、ノエルさん待ってて下さ〜い!このクレイマルスが、あなたを必ず助けに……」
アリスティアは途中で遮り、
「じゃ、クレイマルス悪いが、私はシャナの様子とこの事を急いで伝えにいく。そして、計画通りに事を起こすが」
そう言いながらコンテスト開場の方を見た。
「何らかのトラブルが起こりえる可能性もある。コンテストの途中でノエル様がいなくなった事で、予定が大幅に狂うはずだからな」
「そうだな。まぁ、その時はその時で、なんとかするしかないだろう!」
クレイマルスはそう言うと、アリスティアに手を振り、仲間の所に行った。
そしてアリスティアはそれを見てから、シャナがいるコンテスト会場に向かった。