13話〜作戦会議{改}
そして翌朝ノエルはシャナに、昨夜の事を簡単に話すと、アリスティアとの約束の場所に向かった。
アリスティアは空き家の外で待っていた。
「アリスティア、おはようございます!相変わらず朝が苦手なのですね。眠そうですよ?」
「あっ、来たな。おはよう!確かに朝は弱いが、そんなに眠そうに見えるか?」
「おはようにゃ〜。ふぁ〜、にぇむいにゃ〜……」
「……シャナ。私よりも眠そうにしてるお子様が1人いるようなのだが?これは問題ないのか?」
「確かにノエル様の方が眠そうですね?」
「
ノエルは怒鳴った。シャナとアリスティアは、それをみて楽しむように大声で笑った。
それから3人は家の中に入って行った。
ノエルとシャナとアリスティアは家の中に入ると、今にも壊れそうな小さな部屋で話し始めた。
「それで、さっそくで悪いのだが?ノエル様。昨夜はどうだったのだろうか?」
「……んー、にゃんかにゃ〜。あまり思い出したくにゃいものを見てきたせいにゃのか、今回あまり気がのらにゃい」
「どうかしたのですか?」
「ノエル様。もしかして、何も情報が見つからなかったからって、そんな事を言ってるのか?」
ノエルは首を横に振り下を向いた。
「……言うか言わにゃいか、しばらく考えていたんだけど。やっぱり言わにゃいとまずいだろうし。言う事にするにゃ!」
すると、いつになく真剣な顔になっているノエルをみて、シャナとアリスティアは思わずふきだしそうになったが堪えていた。
それを見たノエルは、
「にゃんで、真剣にゃ話をしようとしてるのに、そこで笑いを堪えてるのかにゃ?話すのやめようかにゃ〜……」
「あっ、ごめんなさい。あまりにも、いつも見せないような真剣な顔になっていたので、ついつい」
「す、すまない。では、ノエル様。話の続きを……」
「そうだにゃ話すにゃ。昨夜、町長の家の中を探っていたら、町長と支配人が去年の事を話していたにゃ」
一呼吸おき、
「そして今年もまた、それをやろうとしている。シャナにゃんが本命って言ってたにゃ」
「何で、私なのでしょうか?もう決まっているかのように」
アリスティアは少し考えてから、
「んー……そうなるとシャナが参加するのは危ないという事になるな」
「そうにゃると思う。シャナにゃんは参加しにゃい方がいいと思うにゃ」
そう言い軽く深呼吸した後、
「それと。地下をみつけてそこを調べて歩いていたら、すごく嫌にゃ物をみた……じゃにゃく見つけた」
ノエルは溜息をついた。
「嫌な物とは?」
そう聞かれノエルは一点をみつめながら、
「あの光景はもうみたくにゃい。地下には数人の遺体があって、1番、新しい遺体が明らかに腐敗の感じから、女だって分かるぐらいだった」
ノエルそう言い口を塞ぎながら、
「その場にいるだけで吐きそうににゃったほどだったにゃ」
アリスティアの顔が青ざめた。
「なっ、なんて事を!?もしそれが本当ならば、この事を王国が知れば、本来なら罰せられるはず。何で今まで気づかれずにいたのか?」
「確かにそうですね。城の内部に、それを黙認する何者かがいるとしか思えないのですが」
しばらく話していると、家の中に1人の男が入ってきた。
「おはよう!アリスティア遅くなってすまない」
「やっと来たな。それでそっちの状況は?」
そう言うとその男はノエルとシャナを見て、
「その前に、そこのお嬢様方を紹介して欲しいのだがな?」
その男はノエルの方へ歩みより、
「あの〜?顔が近いようにゃ気がするんだけど。えっと、にゃんにゃのかにゃ?」
ノエル苦笑いをしながら言うとその男は、
「これは失礼。こんな可愛らしい女性を前にして、つい見惚れてしまいました」
「……あの〜、にゃにを言ってるのかにゃ〜?」
ノエルは一気にどっと疲れた感じになった。
「おいおい、お前は私にはあまり興味示さなかっのに、ノエル様にはその反応って……もしかしてロリコンだったのか?」
「おい!いくらなんでもロリコンはないだろう?俺は事実を言ったまで、こんなに可愛くて愛らしい人は初めて会った」
それを聞いたノエルは、一気に疲れが出たのと、どう反応していいかわからず、ただその光景を見て呆然としていた。
シャナもまたその光景を見て楽しそうに微笑んでいた。
そしてアリスティアが呆れ顔で、
「とりあえず紹介しなくてはだな。この男が、この革命派のリーダー……」
アリスティアが言うのを遮り、
「クレイマルスです。お嬢さん……」
クレイマルスはノエルの右手にキスをした。
ノエルは何がなんだか分からなくなってしまい、顔が赤くなり頭から湯気が出た。
「
ノエルは大声で叫んだ。
「イチャイチャするのも良いが、終わってからにしてくれないか?いい加減、話が進まないのだが」
アリスティアは呆れた顔になった。
「ああ、すまん。では紹介たのむとするか?」
「私は、召喚魔導師のシャナと申します。それとクレイマルスさんが、手を握っておられる方はノエル様と言います」
「ノエルさんと言うのですね。やはり可愛らしい名前だ」
更にアリスティアとシャナとノエルは、呆れて何も言えなくなった。
そしてアリスティアが溜息をついた後、クレイマルスにノエルが見てきた事を伝えた。
「なるほど。そうなるとこれは……。下手に仕掛けて証拠を隠されても困る。かと言ってシャナさんには、危ない橋は渡って欲しくはないし」
クレイマルスが悩んでいると、
「あの〜、もし狙いが私なら、このまま出場しても構いませんが?」
「確かに、シャナは見た目はこんな感じだが、一応は王国でも1、2を争うほどの腕を持つ召喚魔導師」
「もっ、もしかして!シャナさんって、あの幻獣破魔導のシャナ・バイオレットさんなのですか!?」
クレイマルスはシャナの方を見た。
シャナは少し困ったように、
「あっ、えっと……私そんな変な異名で呼ばれていたのですか?」
「もしかしてだけどにゃ?それって幻獣を召喚した時に、どこかの街とかを破壊したとかにゃのかにゃ。って言うのは冗談にゃんだけどにゃ?」
「あっ、えっと、その〜、ノエル様。何でその事を知ってるのですか?」
そう言われノエルは何も言えなくなった。
その光景を見てアリスティアは、
「はぁ〜、その事は突っ込まない方が良さそうだなぁ。どうする?夕べ仕掛けた物は廃棄するか?それともそのままにするかだが?」
そう言うとクレイマルスは少し考えノエルを見てから、
「そういえば、ノエルさんはアリスティアとシャナさんとは、どういう関係なんだ?」
「ん〜、どういう関係と言われてもにゃ?」
「クレイマルス。これは本当ならば国王の許しがあるまでは内密だったのだが、ノエル様は実は異世界からシャナが召喚した者なのだが」
「では、ノエルさんは異世界人?そうなると実力は?」
そう問いかけてきたのでシャナは、
「そうですね。私が召喚した際に実力を試させてもらいましたが、申し分ないと思いますが?」
「なるほど。確かに見た目はこんなちんちくりんにみえる。だが、昨晩の行動からして、隠密行動には適してはいるみたいだ」
少し間をおき、
「そう言えば職業がアサシンと言っていたが、そういう事に適した職なのか?」
「うん、アサシンは影で活躍して、そして動きもどんな職業よりも素早い。それに私は特別に探索スキルも持ってるから、色々な探し物は得意にゃんだよね」
「コンテストにはノエルさんも参加するのか」
「ああ。そうなる」
「アリスティア。それならば、このままコンテストを続行し、仕掛けたやつは使う。タイミングは結果が分かりしだい、というのはどうかな?」
「ふむ、そうだな。それが一番良さそうだな。シャナ悪いが動きを探る為よろしく頼む」
シャナを見た後、ノエルに視線を向けた。
「それとノエル様は、コンテスト中とその後どうなるかは分からないが用心しながら動きを探って欲しいのだが?」
「分かりました。私はそのまま何もなかったようにしてますね」
「分かったにゃ!」
クレイマルスはノエルを心配そうな顔で見ながら、
「ああ。ノエルさんには、出来ればこんな争いに関わって欲しくはなかった。もし無事に帰ってこれたら、俺と……」
ノエルはその言葉を遮り、
「じゃシャナにゃ!そろそろ街に戻ろう」
それ以上その先の言葉を、クレイマルスに言わせないよう、その場をノエルとシャナは去っていった。
そして、アリスティアはそれを確認するとクレイマルスと打ち合わせを始めた。