8話〜ドルマノフとビスカ{改}
ここは神秘の都スカイネーブル。神々が住む国に最も近い街と言われている。
そして、この世界を変えた偉大な、大賢者ドルマノフ=マードレアは、この街の高い丘にある賢者たちの住む、スカイサージュに住んでいる。
その建物は、大聖堂が隣接し立っている。
ドルマノフは考えていた。
(神々は何を考えている?ワシはこのままでは、確かに人間と魔族の間で板挟みになるのは間違いない)
一呼吸おき、
(それに、前ほどでではないが、未だに人間同士の争い、人間と魔族の争いはなくなってはいない。このままでは、世界が破滅の道へと進む)
頭を抱え、
(神は英雄王を、誕生させると言っていた。確かに必要なのかもしれぬ。だがやはり、心配じゃ。ワシと同じ道を通らねば良いが)
そう考えていると扉が開き、可愛いピンクの服を着た女性が入ってきた。
「ねぇ、お父様ぁ〜ん。欲しい物があるのだけど?」
「ビスカ。その話し方、どうにかならんのか。はぁ、それで、今度は何が欲しいというのじゃ」
「ん〜、えっとねぇ。この雑誌に載っている、ピンクのリボンに、ピンクのフリルがいっぱい付いた、花柄のワンピースが欲しいのぉ」
そう言うとビスカは、ドルマノフの背後から勢いよく抱きついた。
「ビ、ビスカ!いくつになったと、思っているのじゃ。いい歳をした大人が、そんな子供のような服など、いい加減もう少し、女らしくなって欲しいのじゃがのぅ」
「え〜ヤダーー、可愛い服のが好きなんだも〜ん!!」
ビスカがそう言うと、ドルマノフは深い溜息をついた後、仕方なくお金を渡した。
「ビスカ。ああ、そうだった。お前にお見合いの話が来ておったのじゃが、会ってみるだけでもどうじゃ」
「え〜、お見合い。絶対ヤダーー!面倒だしぃ、前に会った人、かなりイケて無くて〜、最悪だったしぃ」
「ハァ、お前は誰に似たのじゃ。まあいいわい。先方には断ってはおくが、いい加減、遊んでばかりもいられんじゃろう」
そう言った後、ドルマノフはある事を思いつき、
「ああ、そうだった。ビスカ、頼みがあるのじゃがな。ある者を監視して欲しいのじゃが」
「監視、私が?何で行かなきゃいけないのかなぁ?面倒だしぃ、いやだなぁ〜」
「いい加減にせんかい!いつも何もせんで遊んでばかり、それでもワシの娘なのか。先が思いやられるわい……」
「仕方ないなぁ。それで、誰を監視すればいいのかなぁ?」
そう言いビスカは、ドルマノフに誰の監視をするのかを聞き、旅の支度を整えると、スカイネーブルを後にした。
「はぁ、思いつきで行かせてしまったが、大丈夫かのぉ。まぁ、ビスカも見た目とは違い、もう子供ではない、何とかなるじゃろう」
そう言うとドルマノフは、色々考えた後、書類の整理を始めた。