9話〜2人で買い物に
ここはティールの街の宿屋の食堂。
ガルドとユリィナは早めの夕食を食べていた。
「ねえ、ガルド。これからどうするの?」
そう言いながらパンをちぎり食べた。
「ユリィナ。食べるか喋るかどっちかにしろ!それでも本当にお嬢様なのか?」
そう言うとガルドは早々食事を済ませ、部屋に戻ろうとした。
「ガルド、食べるの早過ぎだよ。まだ私食べ終わってないんだけど。か弱い女性を1人、ここに置いて行くつもりなわけ?」
「はぁ、あのなぁ。何で、俺がお前に合わせなきゃならねぇ」
「ふぅ〜ん。ガルドって、そこまで薄情だとは思わなかったわ!」
「ユリィナ。はぁ、分かった待ってやるから早く食べてくれ……」
そう言うとガルドは椅子に座り直し、ユリィナが食べ終わるのを待った。
しばらくしてユリィナが食べ終わり部屋に戻る途中、
「ガルド、話し途中だったけど。これからどうするの?」
「そうだな……。とりあえずは、この街で装備を整えねぇとな」
「確かに、そうだね。私も、それほど荷物持って無いし、買い揃えないとね。ん〜そうだなぁ。部屋に戻ったら一緒に買い物に行こう」
ユリィナはそう言うと顔を覗き込んできた。
ガルドは慌てて顔を逸らした。
「ユ、ユリィナ!そうだな、そうするか」
「うんうん、そうしよう」
そう言うと2人は、一度部屋に戻り荷物の確認をした後、宿屋を出て武器と防具の店に向かった。
ガルドとユリィナは話しながら歩いていた。
しばらくしてグランワルズが頭の中に話しかけてきた。
“ ガルド、聞こえるか? ”
“ ああ、聞こえるが。今じゃなきゃダメか? ”
“ まぁ、そう急ぐ話ではない。夜にでもまた話しかけるとするか。それにしても、女とデートとはな ”
“ デ、デート、って……。そんなんじゃねぇ!こいつはなぁ……。ん?まさか!?おーい、また途切れたか。はぁ、まぁ、いいか ”
頭の中でグランワルズと会話をしていた時、ユリィナはガルドの顔を不思議そうに覗いていた。
「ねぇ、ガルド。急にどうしたのかな?」
そう言われガルドは我に返り慌てて顔をそらした。
「ユリィナ。いや、何でもねぇ。少し考えごとをしていただけだ」
「そうなんだ。ねぇ、ガルドって何で彼女いなかったのかなぁ。見た目も中身も悪くないと思うんだけどなぁ」
「はあ、ユ、ユリィナ。い、いきなり何を言い出す!」
ユリィナはまたガルドの顔を覗き込み、
「あ〜、ガルドの顔が赤くなった!意外とピュアなんだねぇ」
「あのなぁ。はぁ、もういい!とりあえず買い物を済まさねぇと暗くなっちまう」
「そうだね、行こ〜」
そう言うとユリィナはガルドの手をつかんで武器と防具の店に向かった。