4話〜その女ユリィナ=モルグ{改}
ガルドは、かなりの傷を負いながらも、ディクス村に戻ってきた。
そして、足を引きずり男の死体を抱え、荷物を持ち自分の家へと歩いていた。
ガルドのその姿を見て、村の人々は後退りし、何か化け物でも見るような目で見ていた。
一瞬ガルドは、気持ちが落ち込みそうになったが、いつもの事だと思い堪えた。
ガルドは家の近くまで来ると、洞窟の前で助けた女が近付いてきた。
「先程は、本当にありがとうございます。怪我しているみたいだけど、大丈夫ですか?」
「ああ、死にかけたが、何とか生きてるみてぇだ。だが、すまねぇ。あんたの仲間を、助ける事が出来なかった」
ガルドが申し訳なさそうに俯いていると、
「いいえ、私たちが悪いのです。興味本意で、洞窟に入ったから。あっ、そうでした。まだ、名前をなのっていませんでしたね。私は、ユリィナ=モルグと言います」
「俺は、ガルド=フレイだ。しかし、興味本意とはいえ、何で洞窟なんかに入ったんだ?」
「それは、あの洞窟に、言い伝えがありましたので」
「言い伝えって?」
「それは、愛し合う2人が、洞窟の奥まで行き、そこにある鉱石を、取って来る事が出来れば、幸せになれるという。言い伝えです」
それを聞きガルドは、頭を抱え呆れた顔になった。
「それはそうと、どうするんだ?こいつの死体と、これからあんたは?」
ユリィナは、その男の死体を見ると、泣きそうになったが堪えた。
「そうですね。マルクスは家の者を早急に呼び、手厚く葬ってあげないといけませんね」
しかし、ユリィナは堪えきれなくなり、泣きだしてしまった。
それを見たガルドは、今回の件は自分のせいではないかと思い、申し訳ない気持ちになっていた。