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成長出来るということ

 漂着物を集めた一角の外、ペットのためだけの区画。そこでれいはラオーネとヴァーシャルを撫でたり眺めたりして愛でていた。
 それはれいにとっての癒しの時間。表情は変わらず無表情のままだが、それでもペットとの触れ合いを楽しんでいる。
 ラオーネ達も、れいを主人と決めた相手だけに、大人しく撫でられたり、背に乗せて地を駆けたりしている。ラオーネ達にとっても、この時間は嬉しい時間になっていた。
 そうして一通り愛でたところで、れいはラオーネ達を改めて見詰める。
 どちらも、れいと比べれば体格がかなり大きい。隣に立つと、真上を見上げなければ顔も見えない。ヴァーシャルに至っては、大きすぎてそれでも顔は見えないのだが。
 そうして二匹を眺めていたれいは、ふと思いつく。
「………………調整出来るのでしょうか?」
 ラオーネもヴァーシャルも外の世界で力が集まって自然発生的に生まれた存在だ。そして、生まれながらの完成形として、成長することがない。
 それでも十分に強力な存在ではあるが、れいはそんな存在でも弄れるのか気になったのだ。れいは自分を自身の手で調整して、創造主から完全に独立した存在としたのだが、それと同じ事をラオーネ達でも出来るのだろうかと思い、そう言葉を零す。
「………………」
 しばらく二匹を眺めた後、れいはラオーネの身体に触れてみる。そのまま撫でながら、ラオーネを構成している情報に介入を試みていく。
 するとどうだろうか、驚くほどあっさりと存在の情報へと介入が出来たではないか。
 情報に介入出来たところで、れいは早速ラオーネの存在を改変していく。まずはじめにすることは既に決まっている。
 手早く目的を果たした後は、ついでに他の部分も改変していき、外の世界の影響をしっかりと取り除いていく。後は改変したことに因る不具合を予測しての微調整を行うと、ラオーネの調整を終える。
 それらの作業を、れいは一秒と掛からずに終えた。作業はひと撫でしている間には完了しているのだが、もう少し撫でておこうと数回ゆっくりとラオーネを撫でる。
 それを終えると、次はヴァーシャル。ラオーネと同様の処置を施していく。
 事後承諾となるが、その後に二匹に説明。今回の改変の目玉は、ラオーネとヴァーシャルも成長出来るようにした事だろう。これからしばらく過ごしてもらい、おかしなところが無ければ、今回の改変は終わりだ。
 れいは二匹に説明を終えると、その場で解散する。次は海に赴いてモンシューアにも同様の処置を施さなければならない。もっとも、れいはペットは平等に接するように心がけているので、最初からモンシューアとも同じだけ遊ぶ予定だったのだが。

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