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殿

 デスゲームの時より強化されてる
コレで乗り切れってか
この手帳もよく分からないな
あのクソ主催者からだと思うが月の能力と説明だけならいらないだろ
いや、他にも何か書いてあるって考えるのが正しいか

「えっと
君は何て名前なのかな?」
「累だ、変わった名前かもしれないが気にしないでくれ」
「累だな、案外普通の名前だな」
「普通ならソレに越した事は無いんだが……」
「何か問題でも?」
「いや、何でもない」

 累が普通、日本では無いのに日本語喋るし……
考えるだけ無駄だな、暇な時考えるか

「しかし助かったよ、通りすがりとは言え能力者が居たなんて、でも複数持ってるなんてビックリだよ」
「通りすがりってか金属音聞こえたから来たんだが
コレは確認なんだが、あの騎士擬き何なんだ?血は出ないし力も速さも並みじゃない、実体も有るから幽霊って訳でも無いし」
「僕たちにもよく分からないんだナイトって言うかモンスターって言うか……」
「そうか、で、コレからどうするんだ?」
「出口から出る」
「分かった」
「お腹の傷大丈夫?」
「大丈夫だ」

 ダンジョンって訳か、って事はコイツらはソレなりの知識は有るって事だな、しかし、回復する手段が無い、デスゲームの時回復を使う人は居たが……
 あの人速攻で殺されてそうだな、性格もそうだし始まった時から会ってないし、どうせなら手帳での他のページを見てみるか
 俺の能力が有るんだ、もしかしたら他の奴の能力も

 累は手帳を1ページずつ確認するが月以外の事は何も書いていなかった

 つまり"月"とコイツらで乗り切れと、あの主催者、俺を見て楽しんでるのかコイツらを助けようとしたのか……
無いな、デスゲームの最初「1人にならないと出られない」なんて紙ポッケに入れてたんだ。ソレに救出とかならもっと適任居たしな。

「回復終わりました」

 回復役居たのか

「兎に角出口だな、この氷を吹っ飛ばすからソレが合図だ。
俺は出口の場所を知らないから誰か先頭を頼む
前に何が居ても止まらなくていい、俺が氷柱で撃ち抜く
飛ばしたら一気に駆け抜けるぞ」
「何でお前が指揮取ってるんだよ」
「悪かったな」

 ココを出て又会うなんて事は無いだろうしな
最低限のこの世界の事聞いて1人で生きていくか

 氷の壁を吹っ飛ばし一気に駆け抜けた。少しすると大きな盾を持った騎士擬きが防いでいたが、強化された月の能力の前には紙切れの様に2人、3人と貫き、一瞬で消えた。

 斥力を結構強めにして撃ったがどう言う事だ?
何で居なくなった?
殺したら消える個体なのか?
本当に謎が多いなココ

そうこう考えていると出口が見えて来た。
大理石で作られたと思われる高さは3メートル、横幅は2メートル程の白い門が有ったが、あるモノを見て全員が足を止めた。
ソコには血に染まった白い騎士が仁王立ちして守っていた。
そしてその門の前には数人の死体が転がっており、血も乾いていない事から、あの騎士がやったのは間違いないだろう。
そしてその血に染まった騎士は静かに此方を見ていた。

 あー、コイツ相当ヤバイわ、たった1人で4人も片付けたって事は相当強いぞ……
未知数だが油断したら俺もアソコに転がるな
あの騎士擬きよりも御立派な鎧だしマントまで
背は殆ど変わらないが
騎士団長擬きって所か

「お前ら、アイツは俺が相手する、門から離れたら全速力で出口まで駆け抜けろ、お前らが抜けたら俺も行く、全員出て10秒以内に出てこなかったら死んだと思ってさっさと逃げろ」
「だから何でお前がーー」
「ならお前が殿やるか?
俺はお前らの事知らないが、死ぬぞ
アソコに転がってる奴らみたいにな」

 累は氷の剣を作り、左腕に丸盾をつけ、冷気を放ちながら騎士団長擬きに、1歩、又1歩と近づいていく、そして血の水たまりに足をかけると闘いが始まった。


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