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ガージスは部屋に置いてある荷物をど

かし、部屋のすみに置いた。それから

大きな袋の縄をとき、中から瓶と黒魔

術に使う道具を取り出した。

ガージスは黒魔術の道具を使って床に

魔方陣を描くと、瓶を持って、魔方陣

の真ん中にたった。瓶の中には少女が

発狂しながら泣き叫んでいた。

女(いやー、誰か、誰か助けて、ねえ、

貴方、ここから出して、出してちょう

だい)

と訴える。

ガージスは瓶を見ながらしばらく考え

た。

そして言う。

(そうだな、女よ、お前の過去の話を教

えればここから出してやらんでもない

ぞ)

と言った。女は喜びながら言う。

(昔話、昔話をすればいいのね、わかっ

たわ、話すよ)

女は過去を話始めた。

(私は小さな村に生まれたわ、家は貧し

くて、両親はろくに働かないろくでな

しだったわ、両親は私に毎日暴力を振

るってた、回りの連中も私のことをバ

カにしてたわ、私の村はどいつもこい

つも最低なヤツらばかりだった、ある

日、私の両親はお金ほしさに奴隷商人

に私を売り渡したわ、それから私は毎

日ろくでなしの男たちの慰め者になっ

てた、ある日、私はアイツらを騙して

一人で逃げたけど、すぐに捕まり、さ

んざんおかされたあげくに殺された

わ、さあ、これで私の話はおしまい

よ、さあ、早く出してちょうだい)

それを聞いたガージスは涙を流しなが

ら言う。

(なんと言うことだ、なんと言う悲しく

残酷な話なのだ)

この時、ガージスは本当に涙を流して

いた。

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