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バルンジは(ヒッ)ともらしながら言う。

(ガッ、ガージス様、すっ、すみませ

ん、例の人形はこちらにございます)

と言ってバルンジはガージスを人形作

りの工房に案内した。

部屋は広く、真ん中には白い布を被せ

た台があった。

バルンジが(ヒッ、ヒッ、ヒッ)と言う

と、その台までいって布をバサッとと

った。

すると世にも不気味な一体の人形が姿を表した。

その人形は全身が白く、女性のような

顔をした人形だった。

頭にはイバラの冠を着けて、目には血

の涙を流していた。手には剣を持って

いる。

ガージスはその恐ろしい人形を近づい

てまじまじと見ると息を飲んで言う。

(ほー、これはなかなか見事な人形だ

な、バルンジよ、よくぞそこまで作っ

たものだ)

バルンジは醜悪な顔をして言う。

(ヒッ、ヒッ、ヒッ、お褒めいただきま

して誠にありがとうございます、ご満

足頂けたなら光栄のいたりでございま

す)

と言う。

ガージスはバルンジに強く言った。

(バルンジよ、今日はここにとまるから

な、後、今日はこの部屋でやることが

あるので猛虎の部屋に入ってくるな、

分かったな)

バルンジは(はっハイ)と言って部屋を出た。

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