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彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

アオ＆あお

―――遠距離恋愛をしていた彼女に浮気された。


浮気の相手は学校いちのイケメンで、能力も文武両道らしい。

ショックだった。

けど、未練がましいのは嫌だった俺は、彼女の事を忘れるべく全ての
繋がりを絶ち切った。


―――それから数ヶ月が過ぎた。


時があいつを忘れさせてくれると思っていた。

だがしかし、未だ彼女の事を吹っ切る事も、忘れる事も出来ずにいた。

あいつの全てを断ち切ったのに、心はそうじゃなかったのだ。

なんて情けなく、未練がましいんだよ、俺は......

そんな茫然自失の日々が続いたある日、


―――俺は暴走してきたトラックに跳ねられてしまう。


意識が薄れ行き、人生の幕が下りる様に、俺の両目はゆっくりと閉じて行く。

が、

両目を閉じたその瞬間、

俺は誰かは知らない人物から無理矢理叩き起こされてしまう。

その人物は女神メリアーナと名乗り、にっこり顔で俺に告げてくる。


―――ようこそ、天界に勇者様。


...と。

女神メリアーナ様が言うには、勇者となって自分の管轄する世界に蔓延る
魔族の親玉...魔王を退治して欲しいとのこと。

最初は断ろうとした。

特に秀でた能力もない陰キャラの俺が勇者だなんて、無理に決まってる。

でも、ふと考えた。

「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは！？」

これはあいつを吹っ切るチャンスじゃんと思った俺は、女神様の嘆願を
快く受諾した俺は、異世界に勇者として召喚されて行く。


―――それから五年と数ヶ月の月日が流れた。


幾度の艱難辛苦を乗り越え、見事メリアーナの悲願だった魔王を伐ち倒す。

そしてメリアーナからの恩恵...『勇者』の力を報酬として保持したまま、
俺...光野朔夜は元いた世界に帰還するのだった。



※小説家になろう様とアルファポリス様でも掲載中です。

僕はこの世界で自由な冒険がしたいので女神様...あなたの恩恵は要りません！

アオ＆あお

「おめでとうございます！あなた方はこの私、女神に選ばれました！」


いきなり僕達にそう告げてくる女神メイーナ。

メイーナ様の言う話では、僕達はアーチと呼ばれる世界を救う為に
選ばれた英雄という事らしく、その恩恵として『ギフト』と
呼ばれる力...所謂、チートの力を貰えるらしい。

その事を聞いたクラスメイト達は歓喜していたが、僕はそれを
ニガ笑いを浮かべて見ていた。

だって、それは自由と引き換えに得られる力で、英雄なんかに
選ばれたらきっと苦労はしないだろうが、自由な時間はなくなる
だろうと。

だから、僕...蒼井瞬(あおいしゅん)は女神様にこう言うのだ...


「すいません女神様、僕はギフトなんて要りません...！」


...と。


だが、この選択肢を取った事で僕の意に反する展開となって
いこうとは、この時の僕にはまだ知る由もなかった。



※小説家は小説家になろう様でも掲載しています。