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ある日突然、昨日までの日常が覆る。
そんな体験、誰にだってある。
例えば、勤めていた会社がなんの前触れもなく倒産したり。
相思相愛だと信じていた相手に裏切られたり。
予期せぬ事故や災害、その他諸々。
明日も続くと信じていた日常が、ある日を境に壊れてしまうことなど、たいして珍しいことではない。
だがその日、広瀬ひろせ 真白ましろの日常が儚くも崩れ去ってしまった原因は、他とは少し違っていた。
「どこよ、ここ!?」
気がつくと突然、見知らぬ部屋の真ん中でへたり込んでいた真白。
そこで出会ったのは、賑やかな青年と、獣耳がにょっきり生えた大柄な男で――……。
0クル
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アフリカの小さな田舎町で新型の狂犬病が確認されたというニュースが世間を騒がせたのは、3ヶ月前。
冬を間近に控えた、11月半ばのことだった。
遠い国の出来事だということ。
狂犬病の国内での感染が確認されなくなって久しいこと。
ワクチンがすぐさま開発されたことなどなど。
騒動はあっという間に下火になり、人々の記憶から薄れていった。
だが、年を跨いだ1月のある日――……。
* いわゆるところのゾンビもの、もしくはパンデモニウム(感染拡大)パニックものっぽいやつです(*_ _)ペコリ
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――……この街にゃ、化けものが数えきれないほど住んでいる。
つーか。
そもそもここは、化けものどもを隔離するために作られた街だ。
通称『D地区』。
Dはご多分に漏れず、デンジャラスのD。
遡ること数十年前。
突如として、世界中で異形の因子を持った子供が生まれはじめた。
どこぞの政府の行った人体実験の影響だの。
環境破壊による影響だの。
いろいろ取り沙汰されたらしいが――……結局のところ、原因はわからず仕舞いで今に至る。
案外あっさりと受け入れられた国もあるらしいが、如何せん、閉鎖的なのがこの国の国民性だ。
当時は相容れない人間の方が多かったらしい。
今でこそ身体能力に差があるだけで、普通の人間となんら変わらないってことがわかっちゃいるが。
当時は混乱の坩堝にあった。
んだもんで、臭いものには蓋をしろとばかりに作られたのが、この街だ。
原因が特定されるまで。
そう言って、異形の子供たちをこの街に押し込めたのである。
月日は流れ。
政府が異形の子供たちを『魔人』と呼び、進化した人類だと定めた今でさえ、ここの呼び名は『D地区』のまんま。
外見的特徴があまりにも異形すぎる者。
また、その性質故に、一般社会に溶け込めなかった者の溜まり場だからだ。
ただ人も魔人も入り乱れ、混沌とした街。
だから、賞金稼ぎなんてものが生業として成立してる。
一歩街の外に出りゃあ、ここの常識は通用しない。
逆もまた然り。
それ故に、どこよりも住みやすく――……どこよりも危険な街。
0クル
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