世界に突如ダンジョンが姿を現し、人類はレベルとスキルを手に入れた。
そんな世界で探索者として生きる男、顔悠(かんばせ ゆう)。
彼の持つ固有のスキルは不滅。
決して老いる事も死ぬ事もない不老不死だった。
だがそのスキルにはマイナス効果があり、レベルを上げる事と、スキルを新たに習得する事が彼は出来なくなってしまう。
そのため、ただ死なないだけ。
それ以外は何の力もない無能。
それが周囲から彼に向けられた評価だった。
そんな男がある事をきっかけに、終わりのないダンジョン――通称、エターナルダンジョンへと挑む事になる。
本来ならば、それ絶対に踏破不能なダンジョンだ。
だが彼は死なない事を武器に、食料も無しにただ一人ダンジョンを突き進む。
それから1万年。
顔裕は遂にエンドレスダンジョンの最深部に到着し、望みのアイテムを手に入れる。
それは――
時を巻き戻すマジックアイテムだった。
「遂に……ついに手に入れたぞ。絶対……絶対今度こそ守ってやるからな。エミ、母さん」
顔裕はアイテムを発動させ、1万年以上の時間を巻き戻す。
彼の家族が無事だった時間まで。
そう、顔裕が1万年もの孤独な時間に耐えてダンジョンを攻略した目的は、時間を巻き戻し、救えなかった家族を守る為だった。
この物語は、時間回帰した主人公がかつて救えなかった家族を――そして世界を救う物語である。
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