――まさ会社が潰れるとは思いませんでしたよ
3日ほど前、賢人(けんと)の勤めていた会社が潰れた
――1階の中華料理屋でガス爆発だって?
しかも物理的に
仕方がないので賢人は祖母の住む実家へ帰ることにした
そこで賢人は、実家の土地を生前贈与されることになったが、権利書に見覚えのない番地が記載されていた
――気になるのかい? だったら見に行けばいいじゃないか
準備を整えて出かけようとしたところ、なぜか祖母からは祖父の形見のスーツを着て、防災バッグを持っていくようにいわれた
よくわからないまま見知らぬ土地に入ると、そこには妙にきれいな石柱があり、その上にパーカッションロック式の短筒(たんづつ)――拳銃タイプのマスケット銃――が置かれていた
――うぉっ!? まぶしっ……!
その短筒を手に取った瞬間、あたりは光りに包まれ、賢人は異世界に飛ばされた
飛ばされた先で黒猫獣人の冒険者ルーシーと出会った賢人は、彼女と行動を共にすることとなる
彼が手に入れた短筒は、魔物にのみ絶大な効果を発揮する《聖》属性の弾丸《聖弾》を発射できるものだった
ルーシーとともに活動していた賢人は、あるとき別の冒険者に襲われた
人間に対して効果を発揮しない短筒では応戦できず、かなりの苦戦を強いられた賢人は、危機を脱したあと、《聖弾》以外の攻撃手段が必要だと考えるようになった
そしてひょんなことから元の世界に帰れることが判明し、新たな攻撃手段として拳銃を手に入れることを決意するのだった
一方、賢人の会社が潰れる原因となった、オフィスビル1階中華料理店のガス爆発事故を、県警資料課の美子(よしこ)は部下とともに調べていた。
――LPガスのボンベが爆発したんッスよね?
――店のど真ん中にガスボンベを置く料理店がどこにある?
店舗中央を爆心地としてボロボロになった店内を見回しながら、美子はどうやらこの件が自分たち資料課――通称『死霊課』の案件であると確信する
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