前世の私は・・・・・・
「それにしても・・・・・・、まさかまた私になっちゃうなんて・・・・・・」
私は改めて部屋を見た。
「懐かしいわ・・・・・・、この部屋の雰囲気、そういえば暖かいベッドで寝るのも久しぶりね」
私、マリアナ・ピッツワーク王国の公爵家の令嬢として生を受けた。
そして8歳の時に私はレイト・ピッツワーク第1王子、後に王太子の婚約者となった。
そこから私の人生の歯車は狂いだした。
その直後から過酷な王妃教育が始まり私は何度も辞めたい、と泣き頼んだけど面子を何よりも大事なお父様には聞き入れてもらえなかった。
更にお父様は前から付き合っていた愛人を後妻として迎えいれた、しかも異母妹付きで!
この愛人親子が性格が最悪で我が物顔みたいに好き放題にやらかした。
おかげで私の居場所は無く使用人も後妻の顔色を伺って私にかまってくれなくなった。
更に後妻は気に入らない事があるとすぐに私に暴力をしてきた。
殴る蹴るは日常茶判事でいつもビクビクしていた。
異母妹は私の物を勝手に盗むし私の事を陰で馬鹿にしていた。
家には味方なんていなかった。
それでも唯一の救いはレイト様だった。
私と会うと必ず優しい言葉を投げ掛けてくれた、まぁ蓋を開けて見ればそれだけの男だったんだけどねっ!
本性がわかったのは貴族学院に通い初めてから、誰にでも優しい言葉や甘い言葉をかけるから女生徒の人気は絶大、婚約者である私は全女生徒の敵となってしまい嫌がらせや陰口悪口は当たり前の日々を過ごす事になった。
それに拍車をかけたのが異母妹。
異母妹はコミュニケーション能力が高くてすぐに男子生徒を味方につけた。
しかも、その殆どが将来有望な令息、つまりレイト様の取り巻きでなんなく虜にしていき学院でも私の立場は無くなっていた。
そして、卒業パーティーでの婚約破棄、何故かわからないけど私がやられていた虐めが私が異母妹にやった、となっていた。
こんなの調べればわかる筈なのに私は反論する権利も与えられる事も無く家を追い出された。
この時の私の精神状態はもうボロボロでかなりの人間不振に陥っていた。 結果として私は田舎のボロ屋で世の中を恨み一人寂しく生涯を終えた・・・・・・。
「ホント、ろくでもない人生ね・・・・・・」
正に絵に描いた転落人生だ。
「もしかして、神様が余りにも悲惨だからもう一度チャンスをくれたのかしら?」
だとしたら、神様に感謝をしたい。
2度とあんな悲惨な人生を送るものか。
貴族で無くなったとしても私は平穏無事な人生を送ってやる!と心の中で誓った。