古城に住む男って絶対Sでしょぉっ!
湖に浮かぶ孤島に、古くから建っている大きなお城には、決まって何かしらの伝説があるに決まっていた。
そのお城も例外ではなく、お城の持ち主に使えていた男が永遠の命を手に入れ、一人で暮らしているという噂があったが、誰一人それを見たものはいなかった。
その古城の近くで、連続婦女暴行事件が起きた。襲われた女性たちの証言では、犯人は二人組みの男で、片方が指示を出してもう一人が実行犯ということだった。
早速、M探偵こと奥葉ジン子と冴渡刑事が聞き込みにやってきた。
「で、その片方の男はどんな指示を?」
「もっと奥に突っ込めって」
「奥に?何を?」
「なんか……その……バイブみたいなのが……入って来ました」
「バイブ?!」
ジン子の奥がジンっと疼いた。
その男たちが立ち去った方向が、どの女性に聞いても例の古城の方角だと言うので、絶対何かあるに違いないと、ジン子と冴渡刑事は古城に向かった。
確かに古い城。誰も住んで無さそうに見える。崩れかけた門柱。うっそうと生えた雑草を掻き分け、門を叩く冴渡。ごくりと唾を飲み込むジン子。
すると「だれだ……」と、城の奥から声が聞こえる。
「わたしは警視庁の敏腕刑事、冴渡だ。こちらにいるのは、M探偵こと奥葉ジン子。少し、話が聞きたくて来た次第だ」
少し間を置いて、
「分かった」と、また声が聞こえた。
ギギ…と、音を立てて門が開く。そこには、年老いた老人がたっていた。
ジロジロと犯すような目でジン子を見る老人。ジン子の奥が、ジンジン感じた。
「Sだわ……このご老人」直感したジン子。
「実はこのあたりで女性が襲われる事件が頻繁に起こっています。失礼ですが、何かご存知かと思い参りました」
「へぇ……そうなんですか。知りませんなぁ」
いかにも、何か隠している感じの言い様でもある。ここで、老人をひるますチャンスとばかり、敏腕ならでは質問を繰り出す。
「失礼ですが、登記上、この城は誰も住んでいない無人の城ということになっています」
「おじさんはSですか?」
ジン子は、老人を喜ばすバカな質問をしてしまう。
「Sだ」
例外なくそっちの質問に答える老人。Sっ気がむずむずした老人は自ら正体を明かし、ジン子を責めたくなった。
「わたしの名前は佐渡伯爵。そして召使のディルズ」
「ディルド?」(※こけしのこと)
「ディルズ。複数形だ」
ディルズと呼ばれたその男の影が、佐渡伯爵の奥にみえる。影はゆっくり近づいてくる。すると、「ウィーン、ウィーン」と奇妙な電動音が聞こえてくる。
おぼつかない足取りのその影の主は、やがて姿を現す。
顔立ちは美青年に見えるが、無造作に伸びた髪の毛。そして、たどたどしい足取りと、両腕が奇妙に動いている。どうやら、これが電動音の正体だという事が分かる。
「ディルズ。こちらに来てお二人に挨拶を」
佐渡伯爵にうながされ、ディルズはこっくり頭を下げる。
「ぼ、僕は、ディルズ。あなたたちを抱きしめる事は出来ません……」
ディルズが両腕を見せる。
なんと、両腕がアダルトグッズのバイブになっているのだ!
「こ、これは!」
「シザーハンズのバイブ版ですね!」
目を潤ませて言うジン子。全くのM気質である。
「犯人やん!」
「違う!」
「犯人やて!」
「違うと言うとんねん!」
冴渡と佐渡伯爵が突然関西弁になるぐらい興奮していたが、ジン子はずっとディルズの両腕を見つめて興奮していた。