雀の渦
周囲の者達を放っておく、と。
たちどころに。
やれ、襖や屏風に翡翠で絵を描けば
「高値で売れる」だとか、
どうにか転写の技を得て
「大量にこう、刷れないものか」だとか。
手の空いてる者達を集め、「大勢に模写させよう」だとか。
翡翠の岩絵具ともなると、「高値で取引される」だとか。
「江戸や大坂、京で売ろう」だとか。
「財政難の御救い」だとか。
雀のように群がっては、おのおの、それぞれに、
好き勝手な持論《こえ》で、チュンチュチュチュンと鳴いている。
皆、嬉しそうだし、楽しそうだ。