陰謀7
姫路の秀吉は追いつめられている。狗は久しぶりに洞窟のある屋敷に戻った。長老の留守もあり鼠から言われて戻った。一応狗は死んだことになっている。洞窟には古い仲間が今でも4人住まいをしている。屋敷には下忍が5人、くノ一が2人、年寄りが2人、後は子供が5人いる。
「どうだ?」
年長の下忍に声をかける。獅子の側にいたので今でも大きな仕事には使わないようになっている。豪族の盗賊狩りが中心になっている。こう聞いたのはくノ一から鼠が妙な噂を聞いていたからだ。この下忍が時々姿を消して朝帰りをしているとのことだ。
「朝から隣の豪族の荷の警備に出ます」
「昔からしていたのか?」
「いえ、私が受けてきてもう3度仕事をしました」
「分かった」
狗は外に出て連れてきた鼠を呼んだ。
「仕事に一緒に行った仲間にも聞きました。大した仕事ではなく返されるそうですが、あの男は夜泊まって帰るそうです」
「ここは服部の息がかかっていて警戒していたはずだ」
服部は定期的に抜け忍狩りをする。抜け忍を入ていたお婆も警戒をしていた。何度か抜け忍狩りで仲間を失っている。とくに抜け忍狩りを目立って服部は行っていた。
「鼠はしばらくあの下忍を見張っていてくれ。なんだか嫌な予感がする」
それから戻ると下忍2人とくノ一1人を選んで播州に走る。これは秀吉から高松城下に下忍を送り調査を命じられている。今の長老の手では足りない。それと蝙蝠を戻す必要があった。おそらく柳生との戦いが予想された。弾正を見張っていることは柳生も承知の上だ。