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反逆4

 狗の忍者が暗殺を請け負う力はない。精々密偵だ。洞窟の裏屋敷から狗の泊まっている旅籠に繋ぎがあった。猿が送ってきた繋ぎだ。服部の調査の依頼だ。これは時々受けている豪族からだ。だがこの時期にこんな依頼が来るのはおかしい。それで下忍を3人をまず京まで来るように指示した。猿も揚羽も動き出した感がある。
「伏見の屋敷に大和の兵が1千入っていますが、堺から鉄砲が3百艇運び込まれました」
 怪我をしたが鼠は伏見を調査してきた。今日は弾正の部屋に坊主が頭巾をして座っている。弾正の横には娘が座っている。どうも揚羽の変装のようだ。坊主は布に捲いた手紙を渡した。弾正が黙って読んでいる。
「決行の日に京に3千の僧兵を送ると言われています」
 どうも本願寺も巻き込んだようだ。
「決行の日は?」
「赤松が六角と交渉中で時間がかかっているのだ」
 実は赤松と六角は別々に弾正に交渉をしに来ている。主導権争いだ。
「連絡は?」
「この女が走る」
 会談が終わると揚羽は頭巾を被って色町に戻る。狗は揚羽の後をつけて置き屋に入る。ここで揚羽は頭巾を取ると女郎の顔になっている。彼女に部屋に入るとまったく同じ顔のくノ一が座っている。
「猿から繋ぎです。そろそろ狗を消せと」
「分かった」
と言うと部屋を出て庭先にいる庭師に声をかける。これは繋ぎの年寄りだ。
「狗を至急に呼んで。弾正の反逆の日が分かったと伝えて」
 狗を遂に消すことにしたようだ。この年寄りは弾正ところにいる年寄りと連絡を取り合っている。そこから鼠に伝わるようになっている。その時に思い付いたことがある。

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