生い立ち7
お婆の墓に花を添える。今の洞窟はこれで良いのか?最近はこの言葉を胸の中で繰り返す。狗も20歳になった。狐はすでにくノ一として仕事に加わっている。狗に代わってから今のところ死者は出ていない。今度の仕事は獅子が絡んでいる。仕事としては単純なものだ。ある商人の蔵の鍵を開けるところまでだ。確かに合鍵を作るのに主を1か月の見張り、遂に狐をくノ一として送り込んだ。主の女となったのだ。
この商人のところにはもう一人女中のくノ一も入れている。こちらはただ蔵の周辺に見張りを付けているだけだ。蔵を空けたら誰が現れるのか。だがそれからは仕事ではないのだ。そのために狗は鍵を開ける役を買って出た。女中の引き込みで庭に忍び込む。人の気配はない。
鍵穴に入れる。開いた。待っていたように黒装束が裏木戸から入ってくる。狗はその時殺気を感じて庭の木によじ登る。ほとんど同時に手裏剣がいたるとことから飛んでくる。庭に入ったのは5人の黒装束だがすべて倒されている。その中に見覚えのある体型のものがいる。あれは狗の組の鼠だ。
次に大屋根で切り合いが始まった。これはこの黒装束とは違う。20人ほどが入り混じっている。狗の存在は忘れ去られている。どうもこの蔵の持ち主は蔵を開けられることを知っていたようだ。だから最初に入った鼠たちは手裏剣の餌食になったのだ。だが大屋根の忍者は誰だ。
こちらは服部だ。そうすると向こうは弾正の忍者か。結局服部の守りに弾正の忍者は引き上げた。5人の忍者の死体だけが庭に残された。その結果を狗は秘密裏に追った。そのために狐と年寄りを動かした。はやり獅子の隠れ組の5人が不明になっている。外側はくノ一を2名使って調べた。
「あの蔵は服部の財産を隠している蔵です」
見つけてきたのは引き込みをした女中のくノ一だ。それと獅子に洞窟の年寄りを付けた。彼は気配を消すのが得意だ。4日後獅子が囲っている女のところであの弾正の忍者と会っていることを調べた。
「こちらを囮で使って服部を誘き出したのだが、その戦力が予想外だったのだ。これは獅子も知っていてのことだ」
「これは許されないことだ」