生い立ち6
あの事件があり獅子は左目に黒い眼帯をして仕事には出なくなった。18歳になった狗が今は小頭で現場を指揮している。仕事の依頼は狗が受けて調査をした上でしか受けない。獅子の元兄貴分はどうやら松永弾正の忍びのものだ。弾正は伊賀の豪族をわが手に引き込もうとしている。それでたびだび獅子が使われた。狗は最近は筒井順慶の仕事を多く受けている。これは敵同士だ。だから獅子は機嫌がよくない。
狗の手のものは調査や引き込みにくノ一を2人、年寄りを3人あてがっている。現場には3人から7人を選んで、常に狗自身が出張ることにしている。この年寄りはお婆の仲間だ。くノ一は5人が教育を受けているところだ。13歳になった狐がいよいよ男との技が仕込まれる。
狗と狐は本当の兄弟ではないが、ともに兄弟と思って育った。狐は化粧をするようになって際立って美しくなった。朝狗が目を覚ますと押し被るように狐の顔が目の前にある。もちろん男と女になることは今までにはなかった。
「獅子に抱かれる前に狗が女にして?」
口を動かすだけで話す。狐の体はもう一人前の女になっている。口技はすでに教え込まれている。すぐに狗のものは反り立った。狐は跨ると自分の中に入れる。少し窮屈だが濡れてくるとお尻を揺さぶる。
「どうだった?」
「気持ちがいいな」
「これで気兼ねなく獅子に抱かれれる。でもこれからも抱いてくれる?」
「うん」
「獅子は何人かのくノ一を毎晩部屋に引き込んでいる。それに噂だけど仕事料をくすねて貯めこんでいると言うの」
それは調査のくノ一から報告を受けている。京に女を抱えていると言うのだ。それと狗とは別に仕事をする部隊を持っているのだ。狗の組にも2人いる。このリーダーは剣の教官だ。この男も抜け人の一人で獅子が引き込んできた男だ。どんな仕事をするのかはまだ分かっていない。