第三話 学校
いつもの道。
いつも歩いているおじさん。
いつも吠えてくる犬。
いつもだべっている中学生。
いつも挨拶してくるおばちゃん。
変わらない日常。
変わらない風景。
いつもは気にしていないが、ふと、こんな変わらない日常がいつまでも続けばいいと思うことがある。
退屈だが、変わってほしくない。
―――とりあえず、ここらで自己紹介でもしておこうか。
俺の名前は
父と母の3人家族だ。
お父さんは単身赴任で今は家にいない。
半年は会えていないな。
仕事は……何をやってるかわからない。
お母さんは専業主婦だ。
俺は田舎の高校に通う普通の高校二年生だ。
だが、少し普通じゃないことがある。
普通の男子高校生と比べると、だいぶ身長が小さいということだ。
155cm
高校の女子たちの半分ぐらいは俺より身長が高い。
ほとんどのやつらは中学からの知り合いだから、いじめたり、変な目で見てくるやつはいない。
だが……やはり男として引け目を感じてしまう。
身長を補うため、筋トレをしたり、休みの日にランニングをしたりしているが、
これでやっと平均のやつらと同じ力だ。
もともと持っているやつには絶対勝てない。
身長差は……とんでもないハンデだ。
ちょっと将来のことが不安だが、もう受け入れている。
―――と、もうすぐ学校に着くな。
ああ、今日も学校近辺は渋滞している。
なぜかって?
ここは田舎だ。
そして今、田舎には「レッドアイ」が出没する。
そう、この渋滞はレッドアイに襲われないために、車で学校に登校してくる女子高生たちが乗っている。
毎朝毎朝、親も大変だな。
自転車置き場のいつもの場所に自転車を止める。
下駄箱で上履きに履き替え、階段を上がる。
俺のクラスは1組。
一番端っこだ。
廊下では、同級生が騒がしくたべっている。
「よー、ほむら」
「今日も可愛いねー、ほむらちゃん」
「おめーら、朝からうるせーぞ」
こんなやつみたいにいじってくるやつはいるが、だいたいは挨拶代わりみたいなもんだ。
悪い気はしない。
そんなやつらと挨拶を交わしたりしながら教室の前までたどり着いた。
そして今日もガラガラ音をたてる扉を開けてゆく。