12-2「そのミジンコ並みの脳みそでも分かるように言ってあげる」
艦長室にて報告を終えたクロウとシドは自室に戻り休息を取る事とした。
宇宙歴3502年1月14日2338時、今朝から動き続けたクロウもシドも流石にクタクタである。
「待ちなさい、クロウ」
シドが自室のドアを開けたその時である。そんなクロウを呼び留める者があった。
不機嫌そうにその長い黒髪を揺らし、その赤い瞳を半目で睨むミツキである。ミツキは医務室でタイラーに言われた通り、常備服を着こんでいた。クロウと同じ戦術科の赤いラインの入ったそれである。
「私に断りもなく、この私を放置したまま、まさか寝るつもりかしら? ずいぶんと偉くなったものね」
「あー、まあそうだよね」
クロウはしばし考える。
この幼馴染は恐らく自分の口から今までの経緯を聞きたいはずである。と、言うより、それ以外は受け付けないこの幼馴染の性格をクロウは熟知していた。
「シド先輩、先に寝てて貰っていいですか? ミツキと話をしないと、僕はどうも寝られないみたいです」
「サシ(二人きり)で話をしたいなら、艦底の方の展望室に行け。今そっちは月面しか見えんから休憩時間の連中もいないだろう。椅子も備え付けの飲み物もあるし、ゆっくり話をしたいならいい場所だ」
シドに断りを入れるクロウだが、そのクロウに対し、シドはミツキと話が出来そうな場所を教えてくれた。
流石にシドとクロウの居室にミツキが入るというのは規律的にも好ましくないし、シドもゆっくりは眠れないであろうとクロウは考えていたため、その情報は素直にありがたい。「わるいな、お先に」言いながらシドは部屋へと入っていく。クロウはその背中に「ありがとうございます」と声をかける。
「待たせた、ミツキ。早速行こうか。そう言えば、ルウ中尉とパラサ大尉はどうした? 君と一緒だと思っていたのだけど」
「ああ、彼女たちも自室に戻ったわ。ルウさんは私と同室、パラサさんは妹さんと同室になるそうよ。私の着替えや荷物ももうルウさんと私の部屋に運んであるわ」
「そうか。流石にこの時間じゃ何もできないよな」
言いながら、クロウはシドに言われた通り艦底の方向に出るため、居住区から下の区画へと下がる階段に向かって歩き出した。ミツキもそれに並ぶ。長年の経験からお互いの歩幅や歩くスピードなどは自然に理解できていた。
「『インストール』だけはして貰ったわ、アナタと同じ権限の情報まで貰ったとの事よ。これは確かに便利ね。最初は電気椅子か何かかと思ったけれど」
よくその瞬間に暴れ出さなかったな、とクロウは思うが、ルウが何の説明も無しにミツキに対してインストールを実行したとも考えにくい。シドがクロウに対して行ったような事は起こらなかったのだろう。しかし、改めて考えてみても、とクロウは思う。
インストールという技術は『便利』である。何しろこのミツキに対してクロウは艦内の案内などをする必要が無いのだ。そして、この便利過ぎるこの技術こそ恐らく『第三世代人類』と『第四世代人類』の間に横たわる壁の一つなのだろうと感じていた。
何しろ、第三世代人類はインストールもVRも使用できない。それを使用するためには『第四世代人類』へのバージョンアップが必要である。具体的には体内のナノマシーンのバージョンを上げるために『第四世代人類用のナノマシーン』を一定量以上投与し、人工臓器を『第四世代人類』用のそれへと差し替える必要があった。
だが、この施術自体は元々『第三世代人類』であったルートとエリサが容易く行ったように、専用の設備さえあればものの1時間もあれば完了してしまう。
体の各部、左手首や首筋、右肩、右脹脛の内側に設置されるコネクターの埋設には若干の時間を要するが、それにしても数時間の処置で終わる。第三世代人類の腰の部分には人工臓器へつながる蓋のような構造があるのだ。
この構造によって容易く人工臓器のメンテナンスや移植が可能なのである。普段は完全に隠されたそれは、クロウ達が既に持つコネクターの差込口に似た構造となっている。
因みに『第四世代人類』になるとその蓋は閉じられてしまう。第四世代人類の人工臓器はメンテナンスの必要が無いからだそうだ。この辺の知識はあるが、何故そうなのかまではクロウにはわからない。今のところは関係のない事である。
そんな事を考えながら歩いていると、目的地の展望室に到着してしまっていた。
「アナタは相変わらずこんな時に、気の利いた話題の一つも話さないのね。この朴念仁が、その足りない脳みそを絞り切ってもっと私への敬意を示しなさい」
その長い黒髪を左手に払ってミツキは言う。クロウに言わせればいつも通りのミツキであった。余談ではあるが、クロウはミツキのその言葉を話半分程度にしか聞いていない。何しろミツキは『クロウと初めて会った時』からこの調子なのである。それと毎日顔を突き合わせていれば流石にクロウも慣れる。
「まあまあ、ちょっと考え事をしてたのさ。僕もこっちに『来て』から色々あってね。それもここ数日の話だ。流石に少し疲れも出て来たよ。ミツキもコーヒーでいいかな? 僕は少しカフェインでも入れておかないと話しながら倒れてしまいそうだ」
「ええ、アナタと同じで結構よ」
展望室のその窓は確かに月面しか見えない。正確には月面基地のその広い、いや広大とも言える整地された地面である。それが地平線の果てまで続いており、その窓からは他の『つくば型』も他の地球連邦軍の艦艇も見る事は出来なかった。
強いて言えば月面基地のその管制塔のような建物が地面の端々にポツンポツンと数基見えるだけである。月面から見えるはずの地球の雄大な姿も見えなければ、星を観察する事も出来ないようだった。
「すまないミツキ。景色はロマンティックとは言えそうもなさそうだ」
「まあ、非常時であること位、私にも分かるわ。それ位は勘弁してあげる。ただし、左腕は貸しなさい」
言いながらミツキの分のコーヒーを手渡し、自身の分のコーヒーを持って展望室の長椅子のような大きさのソファーに腰掛けたクロウに、ミツキはそう言いながらその左腕を抱くように座った。
「長かったわ。アナタとこうして会うまで、本当に私には長く感じた。まあアナタには凍らされたまま意識のある人間の事なんて、想像も出来ないでしょうね。分かると言ったら殴るわ。『グー』で。時間の感覚もなく、ひたすらその寒さに凍えながら、気が付いたらアナタや八郎さんと引き離されて、この月の地下深くに放置されていた私の気持ちなんてわかって欲しくも無い」
ミツキは凍らせている間の記憶があるという。それはクロウには勿論、タイラーである八郎にも存在しない記憶であった。
「本当に君はなんでもありだな。実は『第四世代人類』になんかならなくても不老不死だったんじゃないのか?」
「バカねクロウ。それならどうして私の父や祖父は老いているのかしら。まさかわざと老いているとでも? 私達の一族も老いるわよ」
言われて、クロウはミツキの実家である武道の道場の光景を思い出していた。確かに師範であるミツキの祖父も、師範代であるミツキの父もそれ相応の年代の男性に見えた。幼いころからそこに通うクロウにはミツキの祖父である師範の老いも確かに実感できていたほどである。
「でも君は自分が死なないと確信して『僕たちを追った』。そうじゃなければただの後追い自殺になってしまう」
「ふふ、クロウにしては冴えている受け答えね。今のは良かったわ、少し教えてあげる。どこの世界に惚れた男の為とは言え、後追い自殺までする超絶美少女が居るのかしら。アナタなんて居なくても、私ならアナタ以上のパートナーを見つける事だって簡単よ。でも、私はそれでもきっと『アナタ』を選んだでしょうね。ええ、そこだけは誇っていいわ。これから言う私の体質が『あろうとなかろう』と私はアナタを追いかけたわ。でもね、絶対にアナタを手に入れる自信が私にはあったの。私の一族はね、『老いる呪い』を掛けられた『鬼』の一族よ。実際に私たちの先祖が『鬼』と呼ばれて居たころはまだ私たちの一族は不老不死だったそうよ」
だが、彼女たちの一族は寿命以外では死なないのだと彼女は言う。自称吸血鬼はあながち嘘では無かったらしい。
「理屈は私にも分からないわ。でも、私達には私達にしか出来ないその力があったわ。だから確信していたの。常に殺され続けているに等しい『冷凍された状態』であれば死なないって。父と母と祖父にはね、アナタに嫁ぐと言って来たのよ。反対もされなかったわ」
その死生観は、流石に長年彼女と共にいたクロウにも理解は出来ない。
クロウから言わせれば、彼女の死生観は言わば『神』のそれに近い。
次元が違うのだ。
例えば、クロウが紙に人の形を描いたとして、その人の絵が自らの意思を持ったとする。その人の絵の考える『死』をクロウは理解出来ないし、その絵から見たクロウの『死』もその人の絵は理解できないだろう。
そのようなものだと考えるしかない。
クロウは『生前』彼女と体験した様々な出来事から直感的にそう考えていた。『理解できない』ものは少なからず存在するし、それを『理解しよう』としても無駄なのだ。
「だから、君が『僕たちの後を追った』時、君の両親は僕の両親を責めずに居てくれたんだね」
言いながら、クロウはその常備服の胸ポケットに、常にお守りのように入れているラミネート加工のように固いプラスチックの保護板に挟んだ母からの手紙を取り出した。
保護板から取り出して、その便せんごとミツキへと渡す。ミツキはそれを丁寧に受け取ると中身を読んでそっと答えた。
「おば様らしい、いい手紙ね。アナタのご両親には本当に申し訳ないと思っているわ。私達の一族の事情に巻き込んだ形になるもの。アナタと八郎さんを冷凍葬にするようにアナタの両親に提案したのは私の『祖父』よ。勿論私が後を追う事を織り込み済みでね。ついでにアナタ達の冷凍葬の費用と、アナタ達の部屋を『保存』する費用も提供させていただいたわ。アナタ達の両親に私達の一族の秘密を伏せながら、それを受け取って貰うのには本当に苦労したと祖父はこぼしていたわ」
言いながらクロウは納得する。クロウが生きていた当時、冷凍葬は確かにテレビコマーシャルが放送される程に認知度が上がっていたが、その費用は決して安いものでは無かった。それこそ普通の会社員であったクロウの父にはかなり辛い金額になったはずである。
「そうか、お父さんとお母さんに代わってお礼を言う。ありがとう。きっと、僕たち兄弟をいっぺんに失ったお父さんとお母さんには願っても無い申し出だったと思う。今こうしていられるのは師範と君のお陰だ」
言いながら、クロウは生前クロウの師匠でもあったその老人の面影を思い出す。自分にとっても彼は祖父のような存在だった。
ミツキの家族とも家族ぐるみの付き合いをしており、彼らの体質こそ今知ったが、それ以外は互いの家を行き来するほどに良くしてもらっていた。自分たちの突然の訃報はきっと彼らにも少なくない悲しみを与えた筈だ。
「素直ね。少し惚れ直したわ。私の事情はこれでおしまい。アナタの話を聞かせて貰っていいかしらクロウ?」
そこからクロウはこの数日間。日数にするとたったの3日の間のことであるがかいつまんでミツキに説明する。それを全て聞き終わったミツキはそっとクロウを抱きしめた。
「そう、大変だったわね。ここからは私も一緒よ。おばさまの手紙にも書いてあるけど私を泣かせてはダメ。私はアナタと今度こそ離れ離れになったらアナタ達の葬式の時のように取り乱して泣いてしまうもの。だから、私もアナタを離さないわ」
「あり、がとうっ」
クロウはその両目から出る涙を拭えずにいた。
目覚めたこの時代は確かに暖かくクロウを迎えてはくれたが、それでもクロウは孤独を感じていた。
タイラーが兄である八郎であると悟っても、母の手紙に書かれていたミツキがいつも頭の片隅にあった。
ようやく、クロウはこの時代に第二の生を受けたように感じた。
「でも、ミツキ。君だけじゃないんだ。お母さんの手紙には『女の子を泣かしてはダメ』って書いてある。僕はその言葉を守るよ。この艦には君以外にも大切な人たちが出来た。僕はその人たちも守りたい」
「アナタねぇ!」
その言葉を聞いてミツキはクロウを突き放した。ほほを膨らませてである。ミツキがこのような顔をクロウに見せるのは珍しい事であった。
「『分かってる』、分かっているよ。お母さんは何も『そういう意味』でこれを書いた訳じゃないって。でも、まだたった3日しか経っていないけど、僕にも『戦友』が出来たんだ。それを僕は守りたい。ミツキ、君がもし僕のパートナーなら協力してくれないだろうか?」
「……ずるいわ」
それを聞いたミツキは、顔を逸らしながら言う。赤面したミツキを見るのも珍しいとクロウは思いながら、そっとその表情に見入った。
「そんな風に言われたら『私』が断れる訳がないじゃない。バカクロウ」
こうしてクロウは、この時代で生きる決意も新たにするのであった。
そこから、クロウは現状の説明をミツキに語った。それは艦長室でタイラー達と共に語ったそれである。
ミツキは目覚めてまだ間もない。この時代の情勢に詳しいはずもない。まして敵方の『ロスト・カルチャー』の存在など知る由もない。それを現在知っているのはタイラーと共に艦長室でその報告を聞いていた面々と、航空隊のトニア位のものである。
それを聞いたミツキの反応は意外なものだった。
「アナタ、もしかして底抜けのバカなのかしら。『八郎』さんも気が付いていないなんて。ああでもそうなるのも仕方のない事なのかしら?」
話をしていたクロウの言葉を遮ってミツキがこう言うのである。ちょうどそれは敵方が『エスパー』に対する兵器を使用して来ており、その存在がこの時代において確認されていないと説明した辺りの事である。
「え、ミツキ。だって『エスパー』なんて存在がそうそう見つからずにいる訳がないじゃないか」
「そのミジンコ並みの脳みそでも分かるように言ってあげる。アナタの目の前に居る私は『何』かしら? その『エスパー』なんてものが、かすむ程の『超常』が目の前に居るのにお気楽な事ね。言っておくけどクロウ。私ならアナタ達が『エスパー』と呼ぶものが出来る事は大体できるわ」
言われてクロウは目が点になる。
「ついでに教えてあげるけど、『電脳』にその脳みそを変えたアナタにも同じような事が出来るわ。勿論訓練は必要でしょうけど」
これである。クロウは思わず叫ばずにはいられなかった。
「はああああああああああああああ!?」
それを聞いたクロウは、ミツキの手を取り艦長室へと走った。
すっ飛んでいったというのが正解である。その事実はクロウの思考のキャパシティーを越えていた。直ぐにでも兄である八郎に、いや、この艦の艦長であるタイラーに知らせなければならないという使命感からであった。
艦長室へとたどり着き、クロウは肩で息をしながら艦長室の呼び出しコンソールに手を添えてタイラーを呼び出す。
「少し待て」
そう言って出て来たタイラーは寝間着姿であった。仮面にガウンを羽織って、スリッパという出で立ちだった。
どうやらタイラーである八郎は久しく睡眠を取っている最中であったようだ。素早く艦長室に自身とミツキの体を押し込むとクロウは艦長室のドアをロックした。クロウはその多忙な様子を多少なりとも知っているので申し訳ないと思いながら、展望室でミツキと話した内容をかいつまんでタイラーに話した。
一方、ミツキはその間そのタイラーの姿に対して『ツッコミたい』気持ちをずっと我慢していた。実を言えば、ミツキはタイラーのその仮面に対してずっとツッコミを入れるタイミングを計っていた。
その素顔が極秘として扱っているのはいい。それはいいのであるが、どうしてそんなに中途半端な目から鼻だけを隠す仮面なのかと突っ込まずにはおれなかった。
目覚めた瞬間その顔を見て、ミツキには即彼が八郎であることが分かった。それほどまでに隠せていない。それに果たして意味があるのかと、ミツキは言いたい。思わず体をうずうずと震わせるほどに。
因みにこの時ミツキはクロウがしばらくタイラーのその正体に気が付かなかった事実は忘れていた。
「……そうか」
話を聞いたタイラーは静かに一度頷くとこう言った。
「その冗談の続きは明日聞くので、今すぐ出て行って貰っていいだろうか?」
ごく真面目な声色であった。つまり、ミツキから聞いてクロウが話した内容をタイラーは冗談だと感じたのだった。
彼は疲れていた。この数日間寝ていない。それもそのはずで、タイラーはこの数日の為に数カ月をかけて綿密に計画を練り、今まさにひとまずの安全をこの『つくば型』にもたらしたのである。
ともかく寝たい。タイラーは今その邪魔をする存在を殴り殺してでも寝たいという感情に支配されていた。
「ちょ、待ってくれ『兄貴』。冗談じゃないんだってば!」
「ああ、わかったわかった。ミツキ、お前もお前だ。クロウは君の言う事なら何でも信じてしまう。冗談ならもう少し時と場合を選んで欲しいな」
言いながらタイラーは有無も言わさず二人を艦長室のドアから押し出す。取り付く島もないとはこの事である。
艦長室のドアは完全防音である。この扉さえ閉まってしまえば、外の声は艦長室に届かない。タイラーは再び静寂な空間に戻り、今度こそ睡眠を取ろうと考えていた。
その艦長室のドアが完全に閉まり切った瞬間である。ミツキの我慢の限界がとうとう訪れた。
『八郎さんは、どうしてそんなに中途半端な仮面を付けてるのーーーーー!? それで隠しているつもりなの!? もしかしてギャグなのーーーーーーー!?』
彼女のその疑問は彼女の強烈な脳波に乗り、寝ぼけかけたタイラーの脳みそを揺さぶった。
ついでに近くにいたクロウにも、それは大音量となって脳内に響き渡った。
その彼女に取って数千年ぶりの『テレパシー』は、地球連邦軍艦内において初めて正式に観測された『テレパシー』でもあった。内容がどうであれ、音声以外の手段を伴って音声を遮断した相手に対する明確な言語的コミュニケーションであった。
「わああああああーーーー!!」
その脳内に響く大音声に、クロウは思わず声を上げながら飛び上がる。
それは例えるのであれば、自身の思考がその音声そのものに塗りつぶされるような感覚であった。
クロウが飛び上がり、数拍置いて艦長室のドアが再び開いた。タイラーが自らその扉を開いたのである。その仮面越しに頭を押さえてである。
「わかった。ミツキにクロウ。『先ほどの話』は信じる。だが、差し当たって『その件』は早急な対策は今のところ必要ない。申し訳ないが、今日の所は『静かに寝かせて』もらえないだろうか、あと、この仮面のデザインは私の『趣味』だ。悪かったなミツキ」
心底疲れた声色でタイラーは二人にそう言うと再びドアを閉じた。今度はドアが再び開かれる事はなかった。