バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

楽器

(だとしたら、楽器は?)ここが本当に「コントラの名手」の中だったとしたら、まずなきゃいけないのは楽器だ。

「コントラの名手」は、クラシックの中心の音ゲー。クラシックの音ゲーなんて流行るのかと企画段階では言われたらしいが、結果これが大当たり。

クラシック音楽は好きでも、実際に楽器が演奏できる人は少ない。だって、音楽ってとんでもなくお金がかかるんだもん。教室に通うのもそうだし、肝心の楽器がねぇ……あの、ストラ……なんちゃらなんて、軽く億だよ、億。そこまでのやつじゃなくっても、軽く車一台は買えちゃうレベルなんだから、私たち庶民には全く手も足も出ない。それがお手軽に演奏できるのが、流行らないわけがない。今、バージョン3で、来月にはバージョン4が出る予定だった。
 でもここにいるってことは、私バージョン4はプレイできない? パッフェルベルのカノン楽しみにしてたのに(涙)

 ま、それはともかく、プレイヤーは名門王立音楽院に入り、恋をしながら腕を上げ、名手と呼ばれる弾き手になるというゲームだ。

 ベッドから出た私は、早速マホガニーの猫足机の上に楽器の箱を発見する。ちゃんと私が使用している楽器、バイオリンの形。バイオリンだからそれで正解っちゃそうなんだけど、普段はゲームだからもちろんコントローラー。いきなり本物の楽器が出てこられても、演奏できないし。第一、楽譜読めないこともないけど、その速度はカタツムリにも負ける自信があるから。恐る恐るふたを開けて私が見たものは……
バイオリンの木の質そのままのコントローラーだった。

しおり