05
「おいおいおいおいおい!
まさかチート級の能力者か?」
ジルが戸惑う。
「チート級?この世にはもっと凄い人たちがいますぞ!」
おじやビンゴが笑う。
「糞が!テメェら!ここは撤退するぞ!」
ジルがそういうとジャキがいう。
「いいのか?」
「よくはない。
だが、一番最悪なのはあのジジイに全滅を食らうことだ!
それだけは、ダークグラムの隊を率いる身としては避けたい」
ジルは短気に見えて冷静な部分もあった。
今もまた冷静な部分で世界を見る。
「まぁ、そうだな」
ジャキがそういうとジルが空間を歪める。
「ワープホールを開いた。
テメェら入れ!」
ジルがそう指示を出すと団員たちはそのワープホールの中に入った。
「じゃぁな!バーカ!」
ジルはそう言い残すとその場から姿を消した。
「なんなんだ……いったい」
ポックリがそう呟く。
「貴方はゲタ一族の人ですか?」
リトルサマーキッスがポックリに尋ねる。
「あ、はい」
「私たちはゲタ一族が責められていると聞き。
応援に来たのですが……」
おじやビンゴがそういうとポックリがうつむく。
「遅かったです。
なにもかも……」
ポックリは誰も責める気になれなかった。
それは、なにも産まないことを知っているからだ。
「貴方の潜在能力は魔人クラスなのですが魔力が少ないようですね?
どういうことです?」
リトルサマーキッスがそう尋ねるとポックリは自信なさげに答えた。
「魔人クラス?なにを言っているのですか?
僕はポックリ・ゲタ。モブと言われているただの雑魚です」
「そうですか?」
「強いていうなら。
ブリ男という人になにか能力を貰ったくらいですね。
レベルがあがる能力みたいなのを……」
「ブリ男?もしかしてブリ谷王国のサラリーマンですか?」
おじやビンゴが驚く。
「知っているのですか?」
「ブリ男さんは、ランダムに能力を授ける能力を持つ存在です。
ポックリ殿が得た能力は、レベルアップですね。
なかなか稀な能力です」
「でも、HPは1らしいです」
ポックリが小さく笑う。
「そうですか。
でも、HP=体力ではないですし。
攻撃にあたって死ぬわけじゃないですからね」
リトルサマーキッスがそういうとポックリが目を丸くさせる。
「え?」
「でもま、無傷こそ最強の証っていうのはこの世の常識です。
傷を即時再生できる能力と攻撃を避ける能力を持っていればこの世界は生きていけます。
攻撃に呪い系の能力付与する人もいるので基本的に攻撃は当たらないほうがいいですからね」
リトルサマーキッスがそういうとポックリが首を横に振る。
「最強……か。
僕にはとても目指せない」
「そうなのですか?」
「だって僕はゲタですから」
ポックリの言葉だけが虚しくい響いた。