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「そうですね……。ですが、威圧1を持っているモンスターと対峙するときには役立つはずですよ。とはいえ、耐性レベルを上げれば問題ないんですけどね」
「じゃぁ、やっぱり威圧レベル1とか役に立たないじゃん。いいなぁ。ブライス兄ちゃんは威圧レベル2になって。……あれ?ローファスさんは今威圧レベルいくつなんだろう?もしかしてレベル3あったら、補正値でMAXになるじゃん。MAXって、過去にも数人いただけなんだろ?」
 うーん。とりあえず、威圧レベルを上げるのは大変というのは分かった。
 でも、あんまり役に立たないようだということも分かった。
 威圧耐性を上げたほうが現実的らしい。
 というわけで、まぁ、うっかりハズレポーション菜種油料理を食べて威圧が上がったからって、すぐに大問題が起きるようなこともなさそう?
 だけど、威圧が1上がるのがすごいことに変わりないから、菜種油も容易に使うべきじゃないんだね……ううう。こそっと小屋でね、使うの。しばらくは。
「では、こちらもいただきますね」
 ブライス君がニンニク入りの唐揚げを口にする。
「なっ、何ですか、これ……」
 なんですかと言われれば、唐揚げですけれど……。
「匂いはすごいですが、美味しいですね。なんと言うか、食欲が増す美味しさと言えばいいのか……」
 はい。ニンニクの匂いは、味を知ると、臭いなんて思わなくなって、美味しそうって思うようになるのです。
「ステータスは……ああ、残念ながら隠しパラメーターに影響があるのか、それとも何も効果がないのか……分かりませんね。魔力増強薬があれば確認できますが……」
 隠しパラメーターか。
「そういえば、王妃様たちの話を聞いていると、高度鑑定魔法って使える人がすごく少ないんだよね?」
「そうですね。僕も魔力増強薬を使わなければ使えませんし、魔力増強薬は安いものではありませんので……。めったに使われる魔法じゃないでしょうね。魔力増強薬なしで高度鑑定魔法を使える人は、国に1人か2人いればいいんじゃないでしょうか。大陸でも10人いるかどうか……」
 うわー、そこまで稀少って。今は魔力増強薬使ってるけど、成長すればブライス君薬なしでも使えるようになるんじゃない?めちゃ優秀だよ!
「とはいえ、エルフの国には何人もいるかもしれませんけれどね」
 ああ、人との交流しない隠里に住むエルフたちのことかな。
「ってことは、体感的に変化を感じなければ、わざわざハズレ増血薬を高度鑑定する人はいないんじゃないかな?」
「そういわれればそうですね?体感的に変化……。カーツは何か変化を感じるか?」
「んー、五感はいつも通りっぽいし、何かの気配に敏感になってもいないよ。あとは頭がよくなった感じもしないなぁ」
 とカーツ君が思い浮かぶことを確認している。
「そうですね。少し体を動かしてみても……」
 ブライス君が立ち上がり、飛び跳ねたり腕を回したりしている。
「体が軽くなった感じもしませんし、スピードが増しているわけでもない。力が強くなっている感じもないな」
 キリカちゃんが、紙を丸めて投げた。
「命中率も上がってないよ」
「ふふ、キリカちゃんはニンニク食べてないでしょ」
「あ、そうだったの!じゃぁ、はい。ユーリお姉ちゃん確かめて」
 はい。受け取った紙を投げました。
「命中率も普通で、投擲関係威力も出ないみたいですよ」
 手をつねってみると普通に痛いから、痛みに対する耐性もあがってるわけではないみたい。
 と、あれこれ試してみた結果。
「ああああっ!」
 しまった!
「せっかくの唐揚げが冷めちゃった!ま、まだかろうじて少しあったかいかな?みんな、食べよう?先に食べよう?」
 電子レンジなんて便利なものもないし。温めようと思っても……無理だよね?揚げ直したらさすがにギトギトだろうし。
「おお!そうだった。すんげぇうまい唐揚げ!」
 カーツ君がニンニク入りに飛びつく。
「うめっ。アツアツもおいしかったけど、これくらい冷めてるほうがやけどとか気にしなくて勢いよく食べられて俺は好きかも!」
「冷めてもおいしいのであれば、お弁当にも入れられますね」
 とブライス君。
「そうだね。故郷では唐揚げはお弁当の定番メニューだったんだよ」
「キリカ、またおべと持ってピクニックに行きたいのよ!」
 そうだね。うん。
「楽しかったもんね。小屋に戻ったら、またピクニックに行こうか。お弁当に唐揚げ入れて」
 ブライス君が少し寂しそうな顔をした。
 あ、そうか。ブライス君は小屋に戻らないんだよね……。
「ねぇ、ブライス君、明日は暇かな?たぶんまだ当分小屋に戻れないだろうから、明日みんなでピクニック行こうか?」
「行く!キリカ、ピクニック行くのよ!」
「俺も!ちょっと正直街の景色には飽きてたんだよな」
「ありがとうございます。ぜひ、ご一緒させてください」
「ふふ、そうと決まれば、お弁当に何を持っていこうかな。後で料理長に食材を分けてもらうね。何があるんだろう」
 チョコレートのお菓子を作るときに料理長とはだいぶ仲良くなったので、色々教えてもらえるといいな。香辛料に何があるかとか。
 コンコンコン。
 ノックの音が。

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