第19話:飲み込まれた
俺は歩いた。また歩いた。更に歩いた。歩きまくった‥‥‥全くモンスターが見つからない。更に腹が減って歩くのがしんどくなるーーさっきからずっとこのループだ。いい加減に腹が立ってきた‥‥‥。
「あーッッッ!!腹が減ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
俺はストレス発散のために大声で叫んだ。その時、俺の両手に抱かれているスラ君がビクッと震えた。
「ど、どらごん、しゃん‥‥‥こわいの‥‥‥」
「ああ‥‥‥ごめん。怖がらせる気は無かったんだ‥‥‥」
ああ‥‥‥せっかく心を開いてくれたのに‥‥‥また怖がらせちゃった‥‥‥。反省しないと‥‥‥。
俺は少し沈んだ気持ちで歩いた。
ーーどれくらい歩いただろうか。腹が減っているのとスラ君を怖がらせたことで少し憂鬱になった俺は目の前の湖に気づかずドボンッという音を立てて落ちた。
「(ちょ、俺は泳げないのに!!このままだと溺れ死ぬ!!)」
そう思って必死に泳いだ。実際には足をバタバタさせただけだが。幸いにも陸は落ちた場所から近かったので陸に上がれた。
「はぁはぁはぁはぁ‥‥‥溺れ死ぬかと思った‥‥‥スラ君も無事だ。良かったぁ~‥‥‥」
「しかし、このなところに湖があったのか‥‥‥どんだけ大きいんだよ。反対側の陸が見えない‥‥‥なんだかこの湖見ていたら喉渇いたな」
「ゴキュゴキュ」
俺は顔を湖に近づけて水を飲んだ。うん、至って普通の水の味だ。住処にある湧泉から湧き出る水の方が美味しいな。
というか、あのレベルの美味しさの水がたくさんあったら色々とヤバイと思う。水は戦争を引き起こすに足る資源だって言うし。え?言わない?そうなんだ‥‥‥別にどうでも良いけど。
まあ、美味しくなくても喉が渇いているから飲むけど。
「ふぅ~‥‥‥」
満足がいくほど水を飲んだ俺は水面に映っている自分の顔を見た。よくドラゴンはトカゲに羽が生えた生物ーーなんて言うけど、そんなこと全くないな。完全に別物じゃん。
それにしても、俺は美形のドラゴンなんて知らないけど随分とイケドラゴンじゃないかな?そんなことないか。
俺がナルシストみたいに水面に映った自分の顔を見ていたら、水面が波打った。ん?なんか、揺れてないか!?地震か!?
何事かと思って注意深く水面を見ていると、水面に
猛スピードでこちらに迫って来る魚に驚き硬直した俺は水面から飛び出した魚に飲み込まれた。
俺は飲み込まれた衝撃で気を失った。