第21話:贈り物選び
父上達が戻ってきた。早速、シズナに会いに行こうとしてマエルドに止められた。
「マエルド、何故止めた?」
「兄さん‥‥‥シズナを驚かすんでしょう?何で自分から会いに行こうとしているの?それに今シズナは気絶しているよ。兄さんの時も同じだったでしょう?」
「むっ、すまない。どうやら焦りすぎていたようだ」
「いいよいいよ。僕だって会いたい気持ちはわかるもん」
「仕方ない。夜になるまで待つしかあるまい‥‥‥」
夜まで待ちきれない‥‥‥が、先に父上達に挨拶せねば。私はマエルドを連れて父上達に会いに行った。
「父上、母上、おかえりなさい。私たちも先程、屋敷に着きました」
「ああ、ただいた。お前から手紙が送られてきた時、びっくりしたぞ。それにしても、本当に外出許可書を貰うとは‥‥‥私も学園にいた時は何度も抜け出しーー」
「貴方、子供達の前ですよ。しっかりしなさい」
「ああ、すまぬ。兎も角、今シズナは寝ている。パーティーまでにはまだまだ時間がある。街でも観てくると良い」
街でプレゼントでも選ぶとするか。
「ええ、分かりました。では、私とマエルドは失礼します」
「ああ‥‥‥護衛はいるか?」
「いえ、大丈夫です」
それにしても‥‥‥マエルドは先程から何も喋らないな。気になった私は横を見た。そこにはマエルドがいなかった‥‥‥。あの弟はっ‥‥‥。
「父上、母上、私はこれでっ!!」
私が背後を振り返り駆け出した瞬間、何者かにぶつかった。
「ああ、すまない。急いでたもの‥‥‥で」
ぶつかった相手はマエルドだった。私の背後にいたのか‥‥‥全く気配を感じなかった。私はマエルドを立たせてから街に向かった。
所変わって、ここは『マナルカ街』。私が生まれ育った街だ。
シズナへの贈り物に何を買おうか‥‥‥マエルドの時は『魔石』を欲しがったので少し遠出をしてモンスターを狩ったな‥‥‥。流石に贈り物に魔石は欲しがらないだろう‥‥‥マエルドではあるまいし。まあ、マエルドは魔石を贈るようだが‥‥‥あれは魔石と言うより、一種の
我が家にも魔導具は有るが、『すいと~るくん』だったか?あれ程の性能を持つモノはない。ましてや、一人で作るなど、前代未聞だ。
まあ、今は余計なことを考えず、シズナに贈る物を選ぼう。
贈り物を選ぶにはあの
ーー相変わらず、商会は人で埋め尽くされている。人気があるのは良いことだ。
しかし、何を贈れば良いのだ‥‥‥あまり会っていないため、当然の事ながら、シズナの好みなど分からない。まあ、適当に見て行けば、一つくらいは良いのが見つかるだろう。
『宝石』‥‥‥は要らないな。『
実用的な
しかし、何の宝石を買おうか‥‥‥何度も考えた末に私は身に付けるだけで【火魔法耐性】が付く【ファイカル】という『魔宝石』を買った。
贈り物を選ぶのは疲れるな‥‥‥。
ーーそのあとは適当に街を周り、屋敷に戻った。