第5話:家庭教師
0歳から3歳に至るまでのことを俺は別の部屋ーー俺の部屋以外ーーで座りながら思い出し終えた頃、待っていた
「お待たせしました」
入って来た人は随分と若い女性だった。んー‥‥‥20代くらい?
「初めまして、私の名前は『エルマ・ローズ』と申します。シズナ様の家庭教師を勤めさせてさせていただきます。よろしくお願いします」
家庭教師の先生が自己紹介をした後、頭を下げた。自分より年上の人に頭を下げられるなんて初めての経験だ。‥‥‥自分が偉くなったような錯覚がする。
っと、俺も返事をしないと。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
俺は返事をした。こんなことになっている理由を知るためには少し昨日に遡る。
ーー昨日
俺は夕食中に父さんから「明日、家庭教師をつける」と言われた。俺は驚いたが、『拒否権』は無かったみたいで勝手に決められた。別に拒否権があろうとなかろう、どっちでも良かった。
ちなみに父さんは金髪に茶色の瞳をしている。父さんには3歳になって初めて会った。最初にあった時は髪色と違って渋い人だな~と思っていた。
話が逸れたがそんなこんなで今に至るわけだ。
「少しお待ちください」
ローズさんーーローズ先生はポーチから『黒板』を取り出した。なんで、黒板が入ってるんだ?
「なんで、その袋に大きなものが入るのですか?」
気になった俺は質問してみた。黒板のことは伏せて‥‥‥。
「これは
へぇー、凄いなぁ~。俺も一つ欲しい‥‥‥。
俺の質問に答えた後、ローズ先生は黒板にチョークらしきもので書いていった。黒板に書かれたものは『文字』と言うより、『記号』に近い。そのせいか全く読めない。
「それでは、本日の授業をさせていただきます。本日は私たちが住む世界について勉強しましょう」
何かを描き終えたローズ先生はチョークを置いて喋り始めた。
「この世界は『ディルガルド』と言い、『創造神フィリエ様』をはじめ、『フィリエ様』から誕生された他の神々によって
「『ディルガルド』には2つの大陸があります。一つが、私たち『人間種』が住む広大な『スリューム大陸』。もう一つが、
あの女神って『フィリエ』って言うのか‥‥‥。あと、大陸が二つしかないって‥‥‥一つ一つが大きいのか?
「本日の授業はここまでです。また、復習しますので真剣に覚えなくていいです。精々、こんなことがあるんだくらいに思っていただければいいです」
「わかりました」
「それでは私は失礼します」
そう言ってローズ先生は部屋を出た。
‥‥‥短っ!?えっ?実際、10分くらいの授業だな。まあ、短いほうがいいか。