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人には何かしら不思議な能力がある。
それがこの世界の常識だ。
だが、生まれた時から、彼にその能力はなかった。
父は異常な力持ちという能力、母は異常な俊敏さを持っていた。右隣の家の少年は火の生み出すことができ、その左隣の家の少女は植物を異常に早く育てることができた。
両親はどうにか彼の眠る能力を目覚めさせようと、彼を怒らせたり、海に投げ込んで命の危険にさらしたりして能力の発動を試みた。
けれども、彼の能力はわからぬまま。
崖から落としたりもしてみたが、彼は思いっきり落ちて、骨を折った。
奇跡的に命を取り留め、怪我が完治できてから、両親は諦めた。
能力がない個性を認めようと。
そうして、彼に色々なことを仕掛けるのをやめた。
ある日、彼の街にそれはそれは、とても可愛い子が引っ越してきた。
少年も遠目に可愛いと思っていたが、話かける勇気がなかった。
彼女が引っ越ししてから1ヶ月後、少年はばったりと少女に会った。
白いワンピースに金髪のツインテール。
瞳は空色で、まつ毛は長く、おめめパッチリ。
彼は彼女の前で固まってしまった。
「メテオくん?」
そんな彼女は無防備にも彼に近づいた。
ずきゅんと、胸を射抜かれたような衝撃が彼に走った。
同時に轟音!
「おい!何ぃいい?」
低い、とてもじゃないが少女の声じゃない。
だがそんな声が可愛らしい少女から聞こえた。
二人の視線が交差する。
少年は伸ばしかけた手を思わず止め、隕石はそのまま彼女に直撃した。