バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

210 おかんむり おこぷんですわ!

「そうですね、ユーリさんは転移魔法のことが知りたいんですから、行きたいですよね」
 あ。ブライス君の言葉で思い出した……忘れて……た、わけじゃないよ?ちょっとだけ、海産物への思いが強かっただけで。
 だって、魚美味しいし。カニやエビなどの甲殻類。昆布に海苔など海藻類。なんて言うか、宝庫でしょ。宝庫!新鮮な魚なら刺身も!お寿司だって!
 ……生魚、食べるかな?食べなれない人には気持ち悪いと思われるけど……。そういえば、クラーケンも生でたこわさ出したけど、ローファスさん何の躊躇もなく食べてたなぁ……。
 うん。ローファスさんなら初見の食べ物でも大丈夫な気がする。
「なぁ、ブライス兄ちゃん、王都の図書館ってどれくらいの本が置いてあるんだ?」
「行ってみますか?」
 行ってみたい!と思ったけど、まだ文字が読めないんだよね……。
「ご本って、綺麗な絵がかいてあるのもあるの?」
 ああそうか。文字だけが本じゃない。
「そういえば、公爵様の図書室を見せてもらえると言っていましたね?王都の図書館にない本ももしかすると……」
「ねー、ご本見に行こう!」
 キリカちゃんがブライス君の手を引く。
 あれ?布を見に行く予定じゃなかった?
 まぁいいか。また来れば。小屋だと街まで遠かったけど、リリアンヌ様のお屋敷なら街に出るのはすぐだもん。
「そうですね。解呪の本も、本屋で探すよりも公爵家の図書室を探したほうが早いかもしれませんし。それに、せっかく一緒にいるんですから、文字を練習しますか?」
 おお!そうだね!
「俺、文字早く覚えたい!」
「キリカもよ!」
「私も!そうと決まれば、リリアンヌ様のお屋敷に戻りましょうか!」
 というわけで、リリアンヌ様のお屋敷に戻ってきました。正確にいえば、シャルム公爵様のお屋敷というべきかもしれません。
 門をちょうど馬車が入っていくのが見える。
 私たち4人は門の横の通用口を通って敷地に入る。あ、ブライス君は冒険者カードを提示したらすぐに通されました。事前にローファスさんと行動を共にしている冒険者が来るかもと言ってあったのかな?
 でも、冒険者カードって、社員証みたいに入館許可をもらったりするときにも使えるんだね。本当、便利だなぁ。
「あ、リリアンヌお姉ちゃまだ!」
 馬車から降りて来たリリアンヌ様を発見して、キリカちゃんが手を振りながら小走りで近づいて行った。
「キリカちゃぁーん」
 むぎゅっと、リリアンヌ様がキリカちゃんを抱き上げる。
 頬ずり頬ずり。ムニムニしてます。
「もう、癒されるわ!本当。うううーん」
「癒されたようでようございました」
 おや?御者台から降りて来たのは。
「セバスティアンさん」
 そう、元S級冒険者のセバスティアンさん。
「皆様がいてくださって助かりました」
 セバスティアンが頭を下げる。
「え?何もしていませんけど……?」
 お礼を言われるようなことは何もしていないよね?
「いえ、こうして、リリアンヌ様のあらぶった心を癒してくださることで、とても助かっております」
 荒ぶった?
「ユーリちゃん」
 むぎゅっ。右手でキリカちゃんを抱っこしつつ、左手でリリアンヌ様が私も抱きしめた。
「もう、腹が立って仕方がありませんわ!兄も……その周りにいるわからずやたちにも。カカオ豆の輸入に難色を示すんですものっ!」
 え?
「あの、もしかして持って行ったチョコレートのお菓子、美味しくなかったですか?」
 それが原因で貿易できないとなったら……大問題だ。
「ううん。ユーリちゃんの教えてくれたチョコレートのお菓子はどれもおいしかったのよ!おいしいおいしいっていくつも食べてた人も何人もいるわ。だけど、陛下面した人間が、偉そうに、甘いもの欲しさに貿易を開始するわけにはいかぬなんて言うのよっ!」
「陛下面した人間?」
 カーツ君のつぶやきに、セバスティアンが「陛下のことでございます」とこそっと教えてくれた。
 陛下なら陛下面してもいいんじゃ?っていうか、陛下って呼びたくないくらいリリアンヌ様はお冠?
「甘いもの好きだなんて知られたくない男の気持ちなんて知りませんわ!対面?なんですのそれは!一部の人間が楽しむために国は動かせない?はっ!ですわ!」
 ……えーっと。
 まぁ、甘いものが好きなのが恥ずかしいっていう男の人がいるのは分かる。でも……確かに、ほんの一握りの貴族の口に入るだけなら、確かに……それだけのために国全体動かすのはまずいと思う。
 でも……。
「砂糖は高級品だけど、年に1度くらい小さなチョコレートでも庶民が食べられるようになるといいですね……」
 高級品ってどのレベルでのことだろう。
「それよ!」


==========================
戻ってきたよーお屋敷に。
また、食料品見てないですよ、ユーリさん……。

しおり