202 王都のギルド本部へ
そういえば、ローファスさん、お母さんが泣く顔が見たくないから帰りたくないって言ってたけど……。
ちらりとローファスさんを見ると、オロオロとポケットを探っている。ハンカチ探しているのかな?
うん。もうちょっとオロオロ困ればいいんです。お母さんを心配させたんだから。
えーっと、でも、リリアンヌ様にはこれ以上心労かけたくないですね。リリアンヌ様にぎゅっとされながらも、動く右手で、ちょいちょいとローファスさんを手招きする。
手ぶりで、リリアンヌ様を安心させるように背中をさすってあげるか何かしてくれと伝える。
って、伝わってない!
ローファスさんが、私の後ろから私ごとリリアンヌ様をぎゅっと。
ちょ、サンドされた私、ギブ、ギブ、ギブ!
死ぬかと、思いました。
生きててよかった。
と、魂が抜け落ちている私の前で試食が始まり、どれもこれもおいしくて選べないということになり、全部料理長に作るよう指示し、たくさんのチョコレート菓子を持って、シャルム様とリリアンヌ様は正装してお城に向かいました。
「なぁ、ローファスさん、ブライス兄ちゃんは?」
「おっと、忘れてた。ギルドで待ってるはずだ。呼んでくる。いや、一緒に行くか?ブライスもお前たちの無事な顔を早く見たいだろうからな」
……忘れてたって言った?
「行くのよ!キリカ、王都のギルド見てみたいのよ!」
「そうか、じゃぁ、行くか!」
キリカちゃんを肩車したローファスさんがささっと扉をくぐろうとしている。
「待ってください!」
ブライス君にもチョコレートを食べさせてあげたくて、試食の残りのチョコレートを器に入れる。
「じゃぁ、行きましょう」
「そういえば、チョコレートの豆はダンジョン産なんだろ?」
歩きながら話を始める。
「あのね、ハズレ魔石なのよ。でもハズレじゃないのよね、ユーリお姉ちゃん!」
「ふふふ、そうね。またハズレって言われてたわね。そのままでは苦くて食べられない豆だから仕方がないかもしれませんが」
ローファスさんが声を潜めた。
「食べても大丈夫なのか?その、補正値とか……」
今更ですか。
「なんか、よくわからないんだよな。隠しパラメーターに変化があるかもしれないけど」
カーツ君に言われ、ローファスさんはステータスを開いて確認し始めた。
「ああ、本当だ。見た感じ何も変わってないな。体感的にも特に変化を感じることもないか……?ダンジョン産だからって、何もかも補正値が付くわけではないのか。……うーん、ああ、そうだ、ギルドに行くわけだし、ブライスもいるからちょうどいい」
徒歩20分ほどで、冒険者ギルドに到着。
って、屋敷だ!
ギルドって、もうちょっと小さな建物じゃないの?
え?支部じゃなくて総本部だから?地方から来るA級以上の冒険者の宿泊施設も兼ねてる?大規模強制依頼で集められた冒険者たちの寝床や食事を作る施設も必要?作戦会議を練るための会議室に、支部から送られてくるレアアイテムやレア素材の倉庫も必要?うーん。そうか。
そういえば日本でも、大企業の本社ビルは大きいから、こんなもの、なのかな?
「ローファスさん、戻りましたか。ギルド長がお待ちです」
建物は大きくて立派だったけれど、冒険者が出入りする受付は普通サイズで、支部と変わりない作りになっているみたい。
「あー、分かった。めんどくせぇな。ブライスはどこだ?っと、その前に、魔力増強剤売ってくれ」
「魔力増強剤ですか?今ある在庫は、金貨20枚のものと、50枚のものがありますが」
「じゃ、50枚のやつ2つ。んー、足りるかな。いくつ魔力が上がるんだ?」
「金貨50枚のもの1つで1000ですが。足りるとは?いくらたくさん上がると言っても、成長限界値を超えてあげることはできませんよ?むしろ、1つで十分じゃありませんか?よほどの人じゃないかぎり1000あれば余るくらいで」
へー。そっか。
じゃぁ、やっぱりブライス君って人並外れてすごいんだ。
「じゃ、3つくれ。ギルド長にはブライスに会った後に行くって言っといてくれ」
「は?3つ?いや、ちょっとギルド長が後ですか?ローファスさんっ!いくらS級だからって、そんな勝手なこと。知りませんからね!」
あ。ここのギルドでもローファスさん受付嬢に同じようなこと言われてるよ。
「おい、ブライス、これ飲んでくれ」
「ローファスさんっ!やっと帰ってきたと思ったら、いきなりなんです――ユーリさんっ!キリカに、ブライスも!」
3階の階段を上って右側の部屋にブライス君はいた。
扉がなくて、誰もが自由に出入りできる作業部屋のようなところだ。作業部屋というよりは、中学や高校の図書館の本がない感じと言えばいいかな。
大きなテーブルがいくつも並び、書類や本を置いて皆が何か書類仕事をしている。
ブライス君が立ち上がると、ひらりと書類が一枚落ちた。
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いつもありがとうなのよー。
更新ペースには慣れたでしょうか。
ツギクルの使い心地……まだ慣れないよ。時々つながらないし……(´・ω・`)
しばらくしたらなろう1本にするつもりです。
あっちの流れとこっちの流れの先で、同じ冒険に出ますので。
ついに、ハズレ探しにパーティー組んでダンジョン行きますよ!
ふふふふっ。
の、予定。でもって、そこで登場なのが、ダイーズ君だ!そう。
パーティーメンバーに弓使いいた方がいいじゃん。
てなわけで、あっちの話、必要なんで、読んでおいてね。