予告
後世の歴史家は不思議に思うだろう。
なぜ、ハートシルト財閥が、ハックフェラーやホルガンを支援
したのかと。
ここにその真実がある。
ランドルフ公が中心となって開催された大陸会議において、
帝国植民地、後のアメリカ合衆国は独立を目指した。
これは王家に対する大逆罪であり。
生きたまま4つ裂きにして、死体を引きずり回すという
刑罰を意味していた。
ラッセル公の息のかかったミドルトンは英国王室の手先であったが
植民地に勝ち目のない戦いであることはわかっており
和解を目指していた。
ワイルドギース騎士団は最前線で戦い、
民兵の被害を抑えるため、肉の壁となり奮戦したが、
力尽き、地に伏そうとしていた。
しかし、ここで意外な人物が手を差し伸べた。
ハイヤーハムシェル・ハートシルトである。
ハイヤーは10年前のシオンナスィ暗殺事件で
真の敵がキリスト教徒ではなく、
「王家」であることに気がついたのだ。
ハッペンハイムを辞して10年、彼は
ヘッセンカッセル候の信任を受け、
英国のユダヤ人の主流派とは別の道を歩んでいた。
英国の陸上戦力のほとんどは傭兵であり
ヘッセンカッセル候の軍隊であった。
いち早く情報を得たハイヤーはその情報を
清教徒である共和制主義の一派にこっそりと
流していた。
一方、ウバは海上戦力を持たない植民地軍に代わり
カリブの海賊を大英帝国海軍との戦闘に駆り出していた。
戦闘はカリブ、ブリテン島はあまりにも遠かった。
アメリカの独立と民主化そしてフランスの民主化を目指す、
ハイヤーの復讐は始まった。
これが、ニューワールドオーダーの真の意味である。