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「乙女って誰?」
「私よ。
わ・た・し」
「大丈夫ですか?」
水谷さんが、心配そうに俺の顔を見た。
「大丈夫じゃない……」
「奈々ちゃん、そんなヤツ無視してお弁当を食べようよ」
そっか、僕の分は無いんだった。
「はぁ。
じゃ僕は、食堂に行ってくるね」
「あ、待って……」
僕が、起き上がると水谷さんが僕の制服を掴んだ。
「私のお弁当食べませんか?」
「え?」
僕は、耳を疑った。