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21話 ハグされました

 野球が出きそうなぐらいの広い空間、床と壁は白色で統一されている。そこに、兼次達の乗った飛行機と青髪の少年が姿を現した。

「テレポートさせられたな」

 俺は窓の外を見ると青髪の少年はゆっくりと浮いたまま遠ざかっていった。

 少年の進行方向に女性が立っている、桃色の髪に赤い瞳をしている、女性らしい体系を除けば青髪の少年を大きくした感じである、そんな彼女は無表情にこちらを見ていた、俺達も黙ってその光景を見ている。

 女性は少年に左手で何やら合図を送ると、少年は浮いたまま扉の方に向かい外に出ていった、それから女性は何もせず、ずっとこちらを見ている。

 環境の確認をする、空気の成分は地球と比率が若干違うが問題ないだろう、放射線も無し、環境的には生きていけるだろう。
 問題は相手がテレポートを簡単に使ったことだな、あとは少年が床があるのに歩かずに浮いたまま移動した点が気になるな、恐らく直ぐに動かないのは敵意はないということを示したいのか、あるいは何か調査しているのか、どちらかだろうな。

 飛行機が置かれてる部屋には、ここから見る限りは何も置かれていない、とても殺風景な部屋だ、天井には何かあるのだろうか機内からは見えなかった。

 感覚的に5分ぐらい経過した時、女性は腕を曲げ両手を肩まで上げ手のひらを見せ裏向きして手の甲を見せた、それを何度も繰り返している、なにかの表現なのだろうか?

 俺たちはその光景をただ見ていいた、切迫した緊張のなか瑠偉が<しかたないですね~>と言う声が聞こえてきそうな顔つきで言った

「武器は持ってません、と言いたいのでしょうか」

 両手を上げるポーズは宇宙共通なのか、感覚的にはそうなるだろう。
 そかし、相手は普通にテレポートを使っているから、外に出た瞬間攻撃される可能性もある。
 でもこのままでは先に進まないだろうな、こちらから動くしかないか・・・

「よし、出るか」

 俺はそう言うと何故か俺を見て瑠偉が睨んでくる、そうだった・・・
 前の惑星で俺が彼女たちを先に外に出して呼吸を確かめたのだっだ、つまり俺が先に出ろと言いたいんだな?

「まず最初に俺が出て呼吸の確認をする、その後に君たちを下す。
 その後は美憂に任せた!」
「最後の言葉が、情けないですね…」

 と瑠偉は俺を見ている、いや、見下しているのか・・・くやしいので「い、いつかは挽回するから」と小声で言いました。

 俺は飛行機の扉を開けて体を浮かせ外に出たところで静止した、深呼吸をして呼吸を確認する、問題ないようだ。
 飛行機内部を覆っている物理的バリアを解いた時、新鮮な空気が機内へ流れ込んでいるのを感じた、床に降りて振返り飛行機を見ると彼女たちが心配そうに俺を見ている。

 俺は彼女たちを浮かせ飛行機から出すと瑠偉と麻衣がスカートを必死に抑えている<見るな見るな>という声が聞こえてきそうな顔つきである、床に足を付けると、彼女たちは緊張していたのか大きく息を吐きだした。

「よし美憂、頼む・・・任せた」
「行ってくる」

 美憂は両手を上げ桃色髪の女性にゆっくり近づいていき1mほどの距離で向き合った、暫らく彼女たちは見つめあった後、美憂は右手で握手を求めて「こんにちは」と言う。

 握手の習慣がないのか桃髪の女性は美憂の手をじっと見ていた。
 桃髪の女性は美憂の手から美憂の顔に視線を戻すと、一歩前に出て美憂に近づいき両腕で美憂を抱きしめた、キスをするわけでもなく額と額をくっつけている。

「ハグがあいさつなのかな?」と麻衣が言った。
「では、俺もしなければな、ふふ」

「地球人の痴態を晒さないでくださいね?」

 瑠偉は俺にすかさず言ってきた、ホントいつも俺に噛みついてくるな。

「いつも俺に噛みついてくるけど、まさか・・・惚れたのか?」

 と俺は瑠偉をからかってみたが全く反応がない。

「長い、ハグですね」

 瑠偉は何も聞こえなかった様な素振りでに美憂と桃髪の女性のハグを見ていた。
 眼中に無しか・・・まぁいい。

 しかし、瑠偉の言葉通りかなり長い時間抱擁している、美憂はハグされたことないのか体が硬くなっているようでさっきからまったく動いていない。

 結果1分近く両者は抱き合っていた、最後の方に桃髪の女性の口が動いてなにやら喋っているようだが、ここまでは聞こえなかった。
 ハグが終わり両者は離れ美憂がこちらを振り向き歩いて来て俺たちの前で止まった。

「美憂ちゃん大丈夫だよね?」

 麻衣が心配そうに美憂に声をかける。

「言葉が通じた・・・」

 美憂は不思議そうな顔をしてそう言った。

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