エピローグ
洸の幽霊と再会してから5年。
あの後すぐ私は、実家の近くに移り住んだ。
今日は、洸の命日。
片瀬と二人でお墓参りに来ていた。
「もう、坂崎が死んで12年かぁ。早いな」
「うん、そうだね」
お墓の花を変えながら、片瀬の言葉に相槌を打つ。お墓の掃除をして、お線香をあげて、祈る。
「行こうか」
片瀬に手を引かれて歩き出す。
洸のものではないけれど、その事に悲しくなることはもうない。勇気をくれるその手をぎゅっと握り返して、私は歩き出す。
ねぇ、洸。
ちゃんと見てて、私が歩く道。
心の中で洸に話しかけていると風がぶわっと吹き付けた。
耳の奥で洸の声が聞こえた気がした。