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「うむ……
最初に粋がって来た割には脆いな」
モトフミがそういってオトネの身体を魔力で出来た鎖で拘束する。
「貴方は許さないのですますよ」
「さて、どうしてくれようか」
モトフミが嬉しそうに笑う。
「無限の再生と命を与えマグマの中に放り込むとかどうだろう?」
「ドSなのですますね」
オトネが小さく笑う。
すると轟音が鳴り響く。
「それがお主の選ぶ死に方か?」
そういって現れたのはかみさまだった。
「なんだ、シンか?」
「かみさまだ」
かみさまが、そういってオトネの方に向けて人差し指を向ける。
するとオトネを拘束していた鎖が破壊される。
「シンよ。
我のもとに返ってこないか?」
「我のもと?」
かみさまが首を傾げる。
「我、元無極躰主王大御神のもとだ」
「主が、元無極躰主王大御神?
それはジョークか?」
かみさまが小さく笑う。
「それは我を愚弄しているのか?」
モトフミがそういって、かみさまを睨む。
「そのセリフ……
そっくりそのまま返してやる。
父上はそんなセリフを言わない」
元無極躰主王大御神。
それは、かみさまの父親に当たる。
そして、元無極躰主王大御神がかみさまに命令した。
「偽物のモトフミをぶん殴って来い」
かみさまは、その指示に従いモトフミを殴りに来た。
「何を言っている?
我が本物の!神だ!」
するとオトネがいう。
「薄々気づいているんじゃないですますか?
貴方そのものが偽りの存在であることに」
「何を言っている。
この強固な盾を見てもそれをいうか!」
モトフミが無限の盾を構える。
「それだ、それがそもそもの間違いだ」
かみさまが、そういってその盾ごと拳で破壊した。
「な……こんなことが……」
モトフミが一歩下がる。
「さて、どうしたものかな」
そういってセロが現れる。
「あ、ご主人さま!」
オトネがセロに抱きつく。
「なんでこうなのかな。
ベルゼブブもそうだけど、僕の見せ場ないじゃん」
セロがそういうとモトフミが驚く。
「ベルゼブブをどうしたのだ?」
「ベルゼブブは、どっかへ行ったよ。
フィサフィーがどうのこうのって言ってたな」
「そうか……
そういうことか、我もまた偽りに命というわけか」
モトフミは絶句した。
「余はかみさまだ。
主が改心するのなら、父上に頼んでやるが?」
するとモトフミが言った。
「いや、我がやることはひとつ」
「お?来るのか?」
セロが拳を構える。
「フィサフィーに真実を聞く」
「そうか」
かみさまがそういって笑い言葉を続ける。
「フィサフィーの場所に案内してくれ」
「ああ。
構わんさ。どうせそこにベルゼブブもいるだろう」
モトフミは拳をうえに上げる。
すると世界が変わる。
「移動神術。
流石だな」
かみさまが嬉しそうに笑った。