66
僕は、その日も泣いていた。
ずっと、ずっと泣いていた。
すると、別の方から泣き声が聞こえてきた。
泣くのを止め、僕はその子に聞いてみた。
「どうして、泣いているの?」
僕は、その子に聞いてみた。
「パパもママも居ないの」
「僕も居ないよ……」
「ホント?」
「うん」
「だから、泣いちゃダメだよ」
「自分だって、この間まで泣いてたじゃん」
瞳が、横から口を出した。
「うるさい!」
僕は、瞳の頭を叩いた。
「痛いわね!」
すると、瞳は思いっきり強いビンタを僕にした。
「うわーん」
頬がじんじんと痛い。
僕は、再び泣いた。