勇気の告白
俺は未来の俺から手紙が届き、二つの選択肢で迷っていたが、現実を受け止めることにした。
ピンク色のカギを使って未来に行き、勇気をもらった。
(勇気を出して告白して…)
俺は未来のあみにそう言われた。
未来に俺は言ったが、眠気に襲いかかった。
「・・・・・ちゃん」
誰かの声が聞こえる。
「・・・んちゃん」
誰の声だろう・・・
「どんちゃん!」
目を覚ますとベッドで横になっていて、俺の部屋にはあみがいた。
「なんでいるの?」
「ちょっと渡したいものがあってさ、来たら昨日玄関で倒れてたって話を聞いて。大丈夫?」
そうか。未来に行ってる間俺は玄関で倒れていたのか。
また、心配かけちゃったな・・・
「ごめんね」
「え?」
「その・・・また迷惑かけちゃって」
謝るとあみの顔がもちみたいに膨らんでいた。
すると、あみはてのひらで俺のほっぺをバチッってたたいた。
「迷惑かけていいんだって。今までも、これからだって迷惑をかけ続けたっていいの。どんちゃんは、もう一人で抱え込まなくてもいいんだから!」
ああ…もう未来のあみにも今のあみにも敵わないや。
(勇気を出して告白…)
未来のあみの言葉が頭から抜けない。
告白。もしかしたら、フラれてしまうかもしれない。
これから傷つけてしまうかもしれないし、巻き込んで嫌な思いをさせてしまうかもしれない。
だけど・・・
(昔の私のココに連れてきてね)
俺は約束した。必ずあみを未来のあみのように幸せにすると。
「じゃあ、タオル濡らしてくるね」
パシッ
「待って…」
そう言うと、あみは座って俺の目を見た。話を聞いてくれた時と同じ目で。
いや、今度は前よりも優しい目で。
「俺・・・あみのことが好きだ。」
「え?」
「俺、こんなんだからまた迷惑かけてしまうかもしれないし、あみを俺事で巻き込んでしまうかもしれないけれど…俺と付き合ってください」
俺は手を伸ばしてそう言った。
伝えることできた。あみに「好き」って伝えることができた。
最初は動揺をしていたが、あみはフッと笑って俺の手をとった。
「迷惑をかけられてもいいし、巻き込んでもいい。辛い時は一緒に乗り越えるし、話を聞くことしかできないけれど、話もちゃんと聞くよ。こちらこそよろしくお願いいたします」
そして、俺とあみは両想いになった。
付き合うこととなったのだ。
これからゆっくりと大人になっていって、未来に行く。
まだ、未来の俺には相当遠いだろうけど、すべて受け入れて前に進んでいこうと思う。
俺はあみとお付き合いをはじめて学校に通うようにもなり、家族ともうまくいっている。
バイトも辛いけど、頑張っている。最近のバイトは本当に楽しい。
それは、あみが俺のバイト先でバイトすることになったからだ。
あんなに学校が嫌だったけど、今はあみが来れるときに迎えにきてくれるから頑張れている。
あみは進学先に合格をして、俺も合格をした。
そして、卒業式を迎えたのだ。
卒業式にはみかちゃんが来てくれた。それにあみも。
別の高校だけれど、卒業証書を手に持って二人で写真を撮った。
勇気がなかった告白で俺は暗闇に落ちたが、勇気を出して告白したことで今はとても幸せだ。
必ず、あの未来へあみを連れて行って、白いドレスを・・・・・・・
『ピンクのカギは未来にきて、勇気を出してもらうカギ。必ず来い。お前は優輝。優しく輝くだけでなく、勇ましく気持ちを伝えれる人になれ。俺はお前のことを誇りに思う。お前が息子で本当にうれしく思っている。 父より』
と、1枚の写真と入っていた。
その1枚の写真は勇気を出して告白したことで生まれたものであった。