未来
未来の俺はこれからあみを巻き込むということを教えてくれた。
俺は二つのカギを持って玄関にきた。
このカギ穴にこれをさせば俺は変われるんだ・・・
カチャンっ…ガラガラ…
「あ。お帰りなさい」
ドアを開けるとそこにはエプロンを来ているあみがいた。
「え?なんで?」
夜遅いのに…いや、それが問題じゃない。
なんで俺の家にあみがいるんだ。
「なんでって。今日は実家に行くって言ってたじゃない。」
笑顔でそういう。そう言えば俺もなぜかスーツをきていた。
これは未来なのか?
俺がスーツを見て、あみの方を見ると近づいてきてこう言う。
「あなた、もしかして昔の優くん?」
俺はピンクのカギを使った。なにが起こるかわからなかったが、それは未来の世界だった。
「えっと・・・」
「やっぱり。今ここは2022年の世界だよ。ピンクの色のカギを使うと思っていたわ」
笑顔でそう言い、リビングの椅子に腰をおろした。
「たぶん、私がここにいることに驚いてると思うんだけどね、私は22歳の優くん。つまり未来のあなたと結婚してるの。私は大学を卒業して就職してるんだけどね」
なんか、自分の家じゃない気がする。
古くなっている壁、床、何もかも違う気がする。
「私たちは結婚していて一緒に住んでるんだけど、1か月に一回は実家に戻るという約束をしていて、今日がちょうどその日だったの」
俺は、結婚したんだ。
あみと・・・・・でも、
「あのさ、俺と結婚して幸せ?」
思ってことがつい声に出てしまった。
あみは、フッと笑った後に
「うん。幸せですよ」
と、優しい笑顔で言う。
そして、あみは今までのこと話してくれた。俺との思い出話を含めて
いい話ばかりではなかったけど、未来の俺は逃げずにやってきてあみを幸せにしているみたいだ。
「あみは、俺のどこを好きになった?」
聞くと、ちょっと照れてはいたけれど大人の顔で答えてくれた。
「優くんはね、優しい。そして、感動や悔しさで泣くこともできるし、怒ってもくれる。さらに喜ぶとき、楽しんでいるときは全力で喜んでくれるし、楽しんでくれる。」
あみは手を頬に置いて笑顔で話す。
「あとね・・・・・」
席を立って俺の後ろに来て、優しく抱きしめる。
「私のこと好きになってくれて、プロポーズをしてくれた。私想いのところかな」
耳元でそうささやいた。
俺が振り向くとあみはまたしても優しい笑顔だった。
「でも・・・俺、未来の俺と違ってあみのこと幸せにしてあげれるかわかんない。あみのことこれから巻き込むことわかってたのにピンクのカギのほうを使ってしまったんだから」
未来の俺のいいところを知るたびに今の俺は無力だと感じる。
「そんな風に感じてたんだね。でもね、今だから言えるけど私は巻き込んでもらってすごくうれしかったよ。まだこのこと伝えてないんだけどね。」
「俺、これからどうしたらいいのかな。どうしたらあみを振り向かせることできるのかな?」
下を向いていると、肩を手で押さえられた。
俺はスッと顔をあげる。
ばちんっ
いきなりおでこにデコピンされた。かなり力が強かった。
「私のこと好きだと思ってるんなら、振り向かせたいのなら勇気を出して想いを伝えてよ。ピンクのカギはね、勇気が出せる魔法のカギなの。」
勇気のカギ・・・
「私のこと本気で好きなのなら巻き込んでもいいから想いを伝えなさい。振り向かせてみなさい。」
命令口調だった。顔が少し怖かったが、俺が「はい」というと笑顔になった。
ピカピカピカ…
ピンクのカギが光っていた。
「そろそろ時間よ」
光の点滅は過去に帰らされる合図だった。
また、苦しい過去の時代に行かなくてはいけない。
体がだんだん重くなって、眠気が襲ってきた。
するとあみが前から抱きしめてこう言った。
「過去の私を必ずココに連れてきてよ。私のこと幸せにしてね。」
「うん」
「勇気を出して告白して。あなたに会えてうれしかった」
眠気がきて、景色がぼやけてきた。
でも、最後に未来のあみが幸せになってる顔、笑ってる顔がはっきり見えた。
未来の俺・・・必ず幸せにしてやってよ。
俺もすぐそこにあみを連れて行くから。