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「そっか。
先輩頑張っているんですね」
「頑張っているよー
だって、私にはこれしかないもん」
「そんな事ないですよ」
「あるよー
目が見えない分、ピアノを頑張らなきゃいけないの」
「そっか」
僕は、何も言えなかった。
静かなる沈黙が流れたあと、みさき先輩が明るい口調で言葉を放った。
「真白君は、ギターの練習しないの??」
「うん」
「どうして??」
「僕には、そう言う才能ないからです」
「そんな事ないと思うけどなぁー」
「今度、一曲聞かせに来てよ
私は、暫くこの部屋に居ると思うからさ」
みさき先輩は、そう言うと空になった弁当箱を閉じた。
「さ、練習、練習」
みさき先輩は、そう言うとピアノがある場所に戻った。