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悲しき東京の夜景

深夜3時過ぎ、東京スカイツリーの営業時間はすでに

終わっているはずであったが、展望台の場所に美しい

一人の女性が悲しい瞳をしながら東京の町の夜景を見

ていた。

電気はついていなかったが、夜景の光は眩しく光輝い

ていた。

回りには人はいなかったが、どこからともなく彼女の

方に歩いてくる足音が聞こえた。

音は彼女の前で止まった。

だが、誰一人いない。

彼女は言う。

(ずいぶんと遅かったなサンジエルマン伯爵、

今まで何をしてた······)

女性の目の前の空間が歪んだ。

中から一人の男が姿を現した。

(いやいや、調査するのに時間がかかった、

どうやら魔界女王は神奈川県川崎市にある星蘭高校に

いるようだ。

名前をサカキバラカオリと言うらしい······)

女性は(なるほどな)と言った。

サンジエルマン伯爵

(まだ、魔界女王は仲間と合流していないようだ、

叩くなら今のうちがよかろうな······)

女性は言う。

(サンジエルマンどの、サカキバラカオリは魔界女王

として覚醒しておるのか······)

サンジエルマン伯爵

(ある程度の力は使えるようだが、まだ完全に覚醒は

していないようだ、このチャンスを逃す手はないだろ

うな······)

女性

(さようか·······ならば早めに決着をつけようか

の)

サンジエルマン伯爵

(ふむっ、イエズラよ、ソナタの力の見せ所よな)

美しい女性の正体はあの呪いの人形イエズラだった。

イエズラ

(ふっ、任せてもらおう、見ておるがいい······)

サンジエルマン伯爵

(わかった、私は見物させていただこうか、では、の

ちほど······)

と言って空間がまた歪みそのなかに入って消え去っ

た。

イエズラも透明になって消えていった。

時刻は深夜0時をまわっていた。

一本の電話がサカキバラカオリのところにかかってきた。

カオル

(はいっ、サカキバラですけど····あっ、きょうこ、

どうしたのこんなじかんに······)

きょうこ

(あっ、カオル······ちょっと相談したいことがある

んだけどさ······今からいつもの町田のレストラン

で会えないかな······)

カオルは(わかった、今から行くね)と言って電話を切った。

カオルは出掛ける準備をした。

赤いヘルメットにライダースーツ着替えて部屋を出た。

玄関のドアをひらこうとしたとき彼女の父親であるき

ようすけと出くわした。

きようすけは言う。

(カオル、こんな時間にどこに行くんだ······)

カオルはキッと睨みながら言う。

(ハッ、どこにいこうがあんたには関係ない······)

きようすけは怒った。

(お前······親にむかってなんだそこいいかたは、

一人前にふりよう気取りか······)

カオルは冷たい目をしながら笑っていった。

(ハッ、そうだよ、ふりようさ、それがどうかした)

きようすけ

(カオル、とにかく話し合おう、何がいけないのか

話し合って見ないとわからない······)

カオル

(わからない······そうだろうね、あんたはいつも忙

しいからね、もう、話すことはないわ·····)

カオルはドアを開けて外に出た。

きようすけはカオルが言った(忙しいからね)と言う言

葉に後悔のねんがあった。

仕事に明け暮れていた彼は家庭を省みなかったからだ。

きようすけはなにも言えずに黙って立ち尽くしていた。

カオルは家の外に止めてあったバイクにキーを差し込

んでいたエンジンをかけると乗って、町田と言う駅に

向かった。

40分も走らせると町田の駅に着いた。

近くの駐車所にバイクを停めるとその場所から10分ほ

ど歩いたところにあるレストランに入った。

レジに行くと(友達たと待ち合わせしているんですが

入ってもいいですか)と言う。

店員が(どうぞ)と言うと奥の窓際に座っていたきょう

こを見つけた。

カオルはきょうこの座っている席に行くと(ようっ、

お待たせ)と言って席に着いた。

きようこはコーラをストローで飲みながらカオルに顔

を向けて笑った。

きようこ

(ウウンっ、ぜんぜん、来るの待ってたよ······)

カオルは笑いながら席に着いた。

カオルは席に付いてある注文のボタンを押すと男性の

店員がやって来た。

(ご注文は······)

カオル

(ドリンクバーをください·····)

店員

(ドリンクバーをひとつ、以上でよろしいですか)

カオル

(ハイ、以上で······)

店員は頭を下げて言う。

(ごゆっくりどうぞ······)

と言って去っていった。

カオルは席をたち(飲み物持ってくるよ)と言って、

ジュースを取りに行った。

店内は広かったが、お客はあまり多くはなかった。

カオルがドリンクバーで何を飲むか考えていると、

明らかにたちの悪そうな男たち4人がカオルのことを見て言う。

男a

(なあなあ、おい、みてみろよ、あの女······)

男b

(ンッ······あっ、すげえいい女じゃん······)

男d

(男連れかな······)

カオルがジュースをコップにくみ終わり席にかえって

つくと男gが言う。

(ちょっと見てくる······)

男gはトイレにいくふりをしてカオルたちを観察した。

戻ってくると言う。

(なんか、男はいないみたいだぜ、女が二人でなんか

しやべってたよ。

それを聞いた男たちはニヤニヤしながら話した。

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