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暗い世界に明るい光が示してくれる。
そんな感じ……
「よしよし。
いっぱい泣いていいよ」
そんなことを言ってくれたのはこの人が初めて……
だから嬉しかった。
嬉しいはずなのに涙が止まらない。
いっぱい泣いた。
たくさん泣いた。
30分くらい泣いた。
そしたら、なにか胸の中のなにかも取れた。
「また明日も来るね」
「うん!」
また明日も会える?
嬉しいな。
これが私と大輔さんとの出会いだった。
産まれた理由なんてわからない。
私のせいで姉が死んだことは知っている。
自分を責めちゃいけないってわかっている。
でも、どうすれば自分を責めないで入れる?
私が産まれなかったら……
お姉ちゃんは死ななかった。
お母さんもお姉ちゃんを殺さなかったかもしれない。
そう思うと心の何かが曇る。
私はコインロッカーに護られた。
新聞記事やテレビのワイドショーで、コインロッカーベイビーと言われていたことを知っている。
だから、みんな私のことを知っている。
ニュースは嫌いだ。
人の心を貧しくするから……
私の中にあった黒い何かがどばっと溢れる。
笑顔で手を振る大輔さん。
笑顔で手を返す私。
なんだろう。
この感覚……
悲しいを通り越して切ない。
そうして私の1日が終わる。